kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

成功した俺は救われる価値のある人間byブラマヨ吉田

フリーアナウンサーの長谷川坊じゃなかった長谷川某の暴言であるが、理事をしている団体からは梯子を外され、持っていたテレビレギュラーもいくつか降板する羽目になるなど、きっちり自分の発言に責任を取らされる羽目になっている。自己責任教の信者である同人にとっては望ましい決着になりそうでありご同慶の至りである。
同人の暴言(とても議論といえるものではないが)は、それ以外にも引用のルール違反というジャーナリストとしてのマナーもなっていないことも隠し味になっており、流石炎上芸人というべきものだったが、そんな中同人を擁護してプチ炎上しつつある芸人がいる。
togetter.com

一連のツィートは流石「ボケ」というべきもので、わけのわからない例えをして四方八方から突っ込まれ、それにプチギレしてさらにわけのわからない例えをするというものだ。

壁ド突いたら手の骨折れます、でもド突いちゃった。そいつにかかる医療費を、病気の方に回しませんか?って事じゃないの?

いや、健康保険でもこのように故意に怪我をしたものについての医療費は100%自己負担になっている。吉田氏が思うほど保険制度は甘くはないのだ。

殺人の何?絶対違う。ずっと、未来永劫、いい医療を受けたいだけや。その為に保険がある。しかし金に限界があって、どう使いますか?って事や。熱い人らも、あまりにもしょうもない社会ならもう金あんねやから一抜けするぞ?逃がしたらあかん。

これって要するに麻生太郎の「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(=患者)の分の金(=医療費)を何で私が払うんだ。」という話と同じことであって、保険制度そのものの理解がない発言だ。吉田氏には「一人は万人のため、万人は一人のため」という言葉を贈りたい。

結局己頑張りもせず、ただただ甘え、何かあった時だけよろしくお願いいたします!それは無理や。通じない。破綻してんねん。登ろうとしろ。そしてその時ケガしたらみんなで助け合おう。それだけの事。

先天性の難病患者や、発症原因もわからない難病患者にどうしろというのか?努力しなければ救わないぞと言いたいらしいが、その「努力」とやらは誰がどんな基準で決めるのか?結局結果責任だけを問われることになるのではないのか?

富士山の8合目にTシャツで震えてる奴いたら「こいつ凄いな」と「こいつアホなんかな」が半々や。それが何やねんな?笑

なんだ自己責任教の人か。みんなで登ろうとかなんとか言いながら、おちこぼれたりする人間は救う気がないのね。

俺だって自堕落な暮らししてるから将来病気確定っぽい。でも絶対診てもらう。ただ同じ事を何度も何度も、何回も繰り返し、挙げくに医者に掴みかかる人。それってどうなん?って問題提言と読んだ。それを「殺せ」とショー的に言って失敗。

腎不全患者のだれが医者につかみかかっているのだろうか?くだんの記事を読んでそんな問題提言とはとても思えなかったが?
自堕落な生活をしている自分は医者にかかるなというのが、くだんの記事の趣旨で、それを問題提起としている割にはなんで「将来病気確定っぽい。でも絶対診てもらう。」となるのか?自堕落な自分の自己責任なので「皆様の限られたリソースを使うわけにはいかない」というべきなのではないか?論理が破たんしている。

いかにも「今後の社会を考えようぜ」と主張しているようだが、一連のツィートを読む限り、「俺はお笑いという実力至上主義で金を稼いだ。だから、俺はセーフティネットを使う価値のある人間だ。お前等実績もないのに知ったかぶりをするな、利いた風なことをいうな。」というのが、この男のお考えらしい。もちろん「言論の自由」だから、そのような考えを認めないというつもりはない。
ただし、努力できたのも周囲の協力があってこそで、その中には社会保障制度が曲がりなりにも機能していたことも大きい。そしてその社会保障制度は空気のようなもので、普段は意識しないものだということを理解してほしいとだけ思う。

罹災者・貧困・障碍者そして大量殺人犯

神戸に大震災があった後、知人が仕事の関係で被災地に寄り合いバスで入ったのだが、そのバスの中でボランティアとおぼわしき男性が「せっかく来たんだから、何か大変だった話をしてくれ」と被災者に話しかけていて、車内で大顰蹙を買っていたという話をしていた。被災者であってもいつまでも泣いているわけにはいかないし、いちいち視も知らない人間に自分の経験を語る義理なんてどこにもないと思うのだが、件のボランティアの男性はボランティアに行った思い出に「正しい被災者」の話が聞きたかったんだろう。この話を思い出したのは、最近話題になったこれらの件のおかげだ。
headlines.yahoo.co.jp
www.j-cast.com
2番目の記事の「感動ポルノ」という言葉には唸らされた。
我々はもしかしたらテレビに何らかの「感動」を求めていて、それに合わない事象は全て非難の対象にされるのかもしれない。
だから
「ランチに千円も使っているから」
「ライブに行きたいなんて贅沢だ」
障碍者は苦しみの中に喜びを見つけている」
「楽しいエピソードは使えないっす」
という反応になるのだろう。
先に紹介した被災地に入ったボランティアと同じ感覚。「せっかく時間と金を使っているんだから俺が望んでいるものを見せろよ」という感覚と同じだと思えてならない。

それが、やってはいけないところまで行ってしまったのが相模原でおこってしまった障害者施設の大量殺害事件だろうと思う。
容疑者は福祉に興味があったのだという。
それは単に「感動ポルノ」を味わいたかっただけではなかったのか?
それが、現実の業務の中で色あせていき幻滅した結果の犯罪だったのではないかと思えてならない。

三宅洋平支持者に猛省を求める

先の参院選東京選挙区で落選した三宅洋平なる人物のことはよく知らないが、こんな人々が支持支援をしていたらしい。
togetter.com
勿論三宅が立候補するのも、それを応援するのも自由だがこの人物の人となりについて見過ごせない記事があったので残しておく。
masterlow.net*1
これを読む限りでは
三宅は

  • 現在のユダヤ人の大半が実はイスラエルに紐づく民族ではないということを説いた本の愛読者であり。その本は「その(=ユダヤ人)正体は中央アジアにいたカザール人がどういうわけかユダヤ教に改宗して、それが今の「ユダヤ人」となった」というものでありこれについては諸説あり、その説の大半が今では否定されているらしい説を信じている。
  • 鬼塚英昭という「トンデモ」歴史家を信じている。
  • 鬼塚はネットで言うところの「田布施システム」の創始者である。

以上を受けて

それよりなにより、こんな学術的に価値ゼロで低劣ともいえる血統陰謀論を唱える人というのはどうなんだろうか。残念ながら自分には否定的な感想しかない。

ブログ主はこういうが、全くそのとおりだと思う。

ちなみに、この批判は以前よりあったらしく三宅は随分以前にこのような記事を釈明とお詫びとしてアップしている。
ameblo.jp*2
同記事で三宅は

僕が「出自」を根拠に
安倍氏を批判する発言をとったこと、
また田布施の政治集団に触れる発言をしたことで、
むしろそれが部落問題などの朝鮮人差別につながる、
あるいは利用される情報を拡散したという、
かなり厳しい批判、お叱りを沢山いただきました。

この事で僕が正直に申し上げるのは、
同和問題などの部落問題や、戦後の在日韓国・朝鮮の歴史に、
まだ全然疎いということであり、
在日の友人などに少し立ち入った事を聞かせてもらったり、
資料や本を読み進めていく事を続けて行くしかないな、と思います。

というのだが、この記事をアップしてから1年以上経っても歴史には疎いままだったようだ。

まぁ、トンデモに融和性が高いので


を読んでも「ふーん」としか思えなかったが。

相模原市で起きた福祉施設での大量殺人事件は、被疑者の「ナチスの思想が降りてきた」という発言にともない、過去の三宅の「障害をもつ子を産んだ人も、そのことを反省しつつも、その反省を生かしながら障害とともにその子を大切にしていこう」という発言が選挙中もそうだったが、選挙後も改めてクローズアップされている。
相模原市の事件を踏まえたこの発言についての批判は
ruhiginoue.exblog.jp
というものがあるが、三宅自身はこの事件に伴う批判をどう感じているかは同人のブログを読む限りはわからない。
7月16日付の同人の記事にはこの発言についての反省と謝罪として
ameblo.jp
という記事をあげており、そこには

そして、非常にデリケートでナイーブなその心の内を、
率直にお伝えいただいた皆さんのおかげで、
「障がい」という言葉そのものに宿る差別性について
深く考える機会を持つことができました。

この言葉を用いるときに、
どれくらいの慮りが必要かも、
改めて深く考えさせられました。

と述べている。

どうもこの人物、怒られると「不勉強でした、以後注意します」というのがお詫びの言葉らしい。
謝るだけ良いじゃないか、反省するだけマシじゃないかと擁護することも可能かもしれないが、卑しくも国政に出ようという人物が基本的人権にも疎かであり、「ネットde真実」的な話にホイホイ乗っかるおっちょこちょいさは今後勉強しますという話ではないだろう。
ましてユダヤ陰謀論優生学ナチスを生みだし暴走させた思想*3であり、これに親和性が高いというのはあまりに危険だと言わざるを得ない。

そしてこのような人物を支持・支援した上記の連中も「軽薄」の誹りを免れないだろう。
猛省を促したい。

*1:2016年7月16日の記事

*2:2015年3月18日の記事

*3:といえるものでもないが

会社主催の宴会の後の罹災は労災になるか?

画期的な判決なんだそうだ。
www3.nhk.or.jp

(前略)
6年前、福岡県苅田町でワゴン車が大型トラックに衝突し、ワゴン車を運転していた34歳の会社員の男性が死亡しました。
男性は上司から会社の歓送迎会に誘われ、忙しいため断りましたが、再び出席を求められたため酒を飲まずに過ごし、同僚を送って仕事に戻る途中で事故に遭いました。
労災と認められなかったため妻は国に対して裁判を起こしましたが、1審と2審は「自分の意思で私的な会合に参加したので労災ではない」として退けられ、上告しました。
8日の判決で、最高裁判所第2小法廷の小貫芳信裁判長は、当日の男性の行動は上司の意向を受けたもので、会社からの要請といえると指摘しました。
さらに、歓送迎会は上司が企画した行事だったことや、同僚の送迎は上司が行う予定だったことを挙げ、「当時の事情を総合すると会社の支配下にあったというべきだ」として、1審と2審の判決を取り消し、労災と認めました。
飲み会の後の事故は労災と認められないケースがほとんどですが、8日の判決は事情によっては救済される可能性を示すものとなりました。
(中略)
最高裁判所の判決について、労働問題に詳しい玉木一成弁護士は、「労働者の実態を踏まえた画期的な判断だ」と話しています。
玉木弁護士はこれまでの労災を巡る裁判では飲み会が強制参加だったかどうかなど形式を重視して労災と認めないケースが多かったとしたうえで、「今回は飲み会に参加したいきさつや上司のことばを受けた労働者の意識など、実態を踏まえて労災と認めた画期的な判断だ」と評価しています。
(後略)

確かに会社主催の飲み会とはいえども出席が強制されていなかったり会費制になっていたりなど建前上は「任意参加」であったとしても、その実際は参加しないと上司等との今後の関係に良くない影響を心配していやいや参加するという「実質強制」という事も多いであろうから今まで形式上の任意性の有無だけを判断材料とする労災認定から実質までも考慮することになれば、今まで認定されなかった労災が認定されるようになる可能性も増えるであろうからそういう意味では画期的とはいえる。
では、最高裁がこの宴会を「業務の一環「と判断した点はなんだったのか?アップされた判決文*1からいくつかポイントを上げてみたい。

「上司」が会社代表者とほぼ同視できる立場のものであったこと

判決は事実認定として

本件会社の代表取締役社長であるD(以下「D社長」という。)は,本件親会社の事業企画部長を兼任し,同社の本店所在地である名古屋市にいることが多いため,本件会社の生産部長であるE(以下「E部長」という。)がその社長業務を代行していた。
(強調は引用者。以下同様)

そう、今件の「歓迎会に誘った上司」は単なる上司と言うよりも限りなく会社経営者に近い職責者からのものであり、むげに断れるようなものではなかったということだ。因みに当該会社は被災労働者を含め7人程度しか在籍していない会社であることを鑑みると、その上司との折り合いが悪くなると言うことはその人物の居場所が会社からなくなることを意味するとしても決して大げさではなかったろうと予想できる。
そういう意味では、「限りなく強制に近いものであった」と言うべきだろう。

その経費が会社の計算で支出されていたこと

E部長の発案により,中国人研修生と従業員との親睦を図ることを目的とした歓送迎会を行っており,その費用は本件会社の福利厚生費から支払われていた。

会社主催の歓送迎会であったということが認定されたと言うことだ。上記と合わせて考えるとより業務の一環の性質が濃くなると思える。
強制であったとしてもその費用がこの件でE部長のポケットマネーで全額まかなわれていたとすれば、個人の私的行為であり「業務の一環」性が薄れるのではないか。

参加時間が短く、アルコール飲料の類を飲んでいなかったこと

Bは,(中略)本件会社の作業着のまま本件飲食店に向かい,本件歓送迎会の終了予定時刻の30分前であった同日午後8時頃,本件飲食店に到着し,本件歓送迎会に参加した。その際,Bは,本件会社の総務課長に対し,本件歓送迎会の終了後に本件工場に戻って仕事をする旨を伝えたところ,同課長から「食うだけ食ったらすぐ帰れ。」と言われ,また,隣に座った中国人研修生からビールを勧められた際にはこれを断り,アルコール飲料は飲まなかった。

本件被災労働者Bは、宴会の全てに参加したわけではなく、また、アルコール類を口にしなかったという。
このことや上司Eに対しすぐ仕事に戻ることを伝えていることや、作業着を着替えることなく宴会に参加していることを考慮して、最高裁は業務の中断を認めなかったのではないか。
労働者災害補償保険法やその関連通達では休憩時間中の罹災は労働者は労働義務から解放されることより労働者災害補償保険の適用外である。しかし、運転手や休憩時間中の電話当番や夜勤中の仮眠のような「手待ち時間」中は労働義務から解放されたとはいえないとしている。
今件は終了予定時刻より早く終わればそれだけ早く仕事に復帰する必要があったわけであるし、仕事復帰を前提として着替えをせず、アルコール類を飲まなかったわけであるから、休憩時間のように業務から完全に解放されていないという評価をしたのではないだろうか。

会社への帰路途中にある従業員寮への送迎を行ったこと

もともと本件研修生らを本件アパートまで送ることは,本件歓送迎会の開催に当たり,E部長により行われることが予定されていたものであり,本件工場と本件アパートの位置関係に照らし,本件飲食店から本件工場へ戻る経路から大きく逸脱するものではない

経路を大きく逸脱するようであれば通勤労災の考え方からすれば「経路逸脱」にあたるため、労働者災害補償保険法の適用ができなくなるが、今件は宴会場と事業場を結ぶ線の中に寮があったと評価されているため「経路逸脱」にはあたらないと最高裁は評価しているが、これは上記2点をもっても「業務中」と判断されなかった場合に通勤災害の適用の余地があるということなのかもしれない。
とはいえ、上記2点並びに本来はE部長が送迎すべきことを替わってBが行っているということであるから当該送迎行為は「本件会社から要請されていた一連の行動の範囲内のもの」であり、会社の指揮命令の下業務遂行中の罹災と判断されたといえる。

労災認定は結局拡張されうるのか?

以上の点を考えると、本件事故は業務中といわれてももともとやむを得ない時間中の出来事であり*2、もしも、宴会開始時刻から最後までアルコール類を口にしていたというようなことがあれば、労災認定されなかった可能性もあるし。着替えを済ませていたとすれば業務中断と評価されていた可能性もある。また、労働者の立場として社長と同視できる人物からの参加依頼という状況からしても参加の任意性が認めにくいという事情があり、一律「宴会の後の罹災が労災と認められる」とは言い切れないように思える。

では労働者としてどうすればいいのか?

弊ブログの記事で恐縮だが
いまさらながら気をつけたいこと - kodebuyaの日記
に書いたようにこの宴会が明示または黙示的に業務の一環で行われることの確認を得るべきだろうと思う。
これから、屋外のビヤガーデンで会社の宴会をするケースが増えると思うが、くれぐれも全ての宴会の後の罹災が労災の適用を受けると考えるとむしろ危険だと思う。

*1:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/000/086000_hanrei.pdf

*2:社長付の運転手が社長の商談待ちの間に事故に遭えば、社長に「この時間は休憩時間なので好きなように過ごしなさい」と言われたなどの特段の事情がない限り、労災認定されると考えるべき

「わたくしの言論の自由は最大限保障されるべきです!!」by櫻井よしこ

お前は何を言っているんだ。
【慰安婦をめぐる損賠訴訟】櫻井よしこ氏会見詳報(1)「法廷闘争は言論の自由から考えて非常におかしい」(1/4ページ) - 産経ニュース

言論人として堂々と例えば雑誌「WiLL」が紙面を提供しますというので申し込んだにもかかわらず、それには全く応じていませんし、いろいろな形で討論するのは可能だったと思いますけれども、このような法廷闘争に持ち込んだことは言論の自由ということから考えて非常におかしいと意見陳述の中で植村さんに問題提起しました。

そもそもこの訴訟は櫻井よしこ及び産経新聞がおこした名誉毀損裁判なのであって言論の自由の問題ではない。
言論人であろうが誰であろうが人様を理由も何もなく貶していいなんて自由は存在しない。
「文句があるならWillという自分のフィールドに来い」というのがまずもっておかしく、それをいうなら「〇〇という中立の場を用意したのでそこで反論なり公開討論をしよう」というのが「言論人」の在り方*1とは思うし、そんな態度だからこそ訴えられたんだろうとしか思えないが、百歩譲って櫻井の主張が言論人の態度として尤もだとしても自民党改憲草案を支持する櫻井よしこが「言論の自由」と声高に言うのは噴飯ものの一言に尽きる。
自民党改憲草案はこういう。

第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
保障する。


前項の規定にかかわらず、
公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、
並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。


検閲は、してはならない。
通信の秘密は、侵してはならない。
(強調は引用者)*2

現行憲法にはない2項が新設されている。
これについて自民党の説明は以下の通り。

オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを踏まえ、公益や公の秩序を害する活動に対しては、表現の自由や結社の自由を認めないこととしました。内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然です。なお、「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定しており、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではありません。
(強調は引用者)*3

オウム真理教に対して破防法が適用できなかったからというのも酷いが、「社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然です」と言い放つのがそれ以上に酷い。
確かに、「言論の自由」を笠に着て例えば人様の殺害予告をするというのは問題があるかもしれないが、それは刑法の脅迫罪や各地方自治体が制定する「迷惑防止条例」で処理すれば足りるのであって、制限条項を殊更憲法に記載する必要があるのか。
それにそもそも憲法が「権力を縛る」ものであることは近代的な意味での憲法としては当然のことであるから、その意味において「権力が下々の者を縛る」ことになりかねない自民党草案の2項は憲法を17条憲法のような倫理規範にまで落としたいという意思が明白に表れた箇所だと私は思う。

だいたい『「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定』するのは誰なのか?
明確な線引きは可能なのか?
政府の権限を持って規定するなんて話になったら凡そ言論の自由は死滅すると言わざるを得ないだろう。

まぁ、そうなっても安倍晋三のオトモラチの櫻井よしこの場合「私の言論の自由は保障される」んだろうだが、少なくとも現行憲法櫻井よしこ言論の自由は守られていることは間違いないのであり感謝こそすれ、安倍晋三のように「恥ずかしい」とかなんとかほざける立場にはないと思うのだが。

芸能人の売名行為

まず、先日おこった熊本・大分大地震で犠牲になった皆様のご冥福をお祈りいたします。
また、現在も避難生活を送り、また、怪我を負われた皆様にはお見舞いを申し上げます。

被災した芸能人のブログが炎上している件

熊本で自給自足の生活をしているとの話もあった井上晴美氏だが、先の自身で罹災しているとのことだ。
一連の感情を自身のブログに投稿したのだが、それが炎上してしまい、結果としてブログが休止する事態となっている*1
inoueharumi.exblog.jp
「愚痴りたいのはお前だけではない」「可哀想な私アピールがイラつく」といった中傷があったとのことだ。

寄附をした芸能人を売名行為だ偽善だと中傷し、お詫びさせている件

それ以外にも被災地へおこなった寄付行為をネットで公開した有名芸能人が次から次へと批判中傷にあっているとのことだ。
headlines.yahoo.co.jp
から引用する。

タレントの紗栄子(29)が19日、熊本地震被災者のために500万2000円を寄付したことを明かした。だが、ブログに掲載した金額入りの振込受付書に対し、ネット上では「いちいち出すな」「好感度上げたいのか」と批判する声が…。こんなゆがんだ“不謹慎狩り”が横行し、熊本で被災したタレントの井上晴美(41)にまで誹謗中傷が浴びせられる異常さだ。このほか、被災地にエールを送った藤原紀香(44)や西内まりや(22)、上地雄輔(37)らも袋叩きに遭っている。

袋だたきしている側のゲスな言い分は元記事にいやというほどあるのでここでは掲載はしない。
といって、なにもしなければなにもしないで叩かれるらしいので難儀な世の中だなとしか思えない状態に陥ってしまっている。

反撃しない人間を選んで叩いているのではないのか

上記2件に共通するのは、一般人に対してネットでの反撃が難しい*2芸能人の行為を選んで叩いているということであって、例えば日本財団というギャンブルの胴元が発表した「熊本地震緊急支援」については「偽善だ」「売名行為だ」との批判が原因で同財団のホームページが閲覧不能になったというようなことにならなかったことを考えてもあながち間違いではないのではないかと思う。

「偽善」「売名行為」批判に対する効果的な反論とは

そこでこれらの中傷に対する有効な反論として東日本大震災で多額の寄付をおこなった杉良太郎氏の発言があげられると思う。
www.mag2.com

「偽善とか売名と言われることもあると思いますが…」

と聞かれた杉さんが、

「ああ、偽善で売名ですよ。偽善のために今まで数十億を自腹で使ってきたんです。私のことをそういうふうにおっしゃる方々もぜひ自腹で数十億出して名前を売ったらいいですよ」

福祉をやるには確かに時間とお金がかかる。特にお金がないと見栄えのいい福祉はできません。でも、お金がない人は時間を寄付すればいい。お金も時間もない人は、福祉に対する理解を示し、実際に活動をしている人に拍手を送るだけで十分。それでもう立派な福祉家なんです。福祉ってそういうもんです。」

そう。非難する側は非難された側の反応*3を見て楽しんでいるのであって、そうでなければ、お金に色が付いていない以上「前夫から取った金だろ」なんて批判が起こるはずもない。
そんなことにいちいち反応するからかえって何をするにも自粛するという環境ができあがってしまうのではないか。
名前を売るのが芸能人の仕事なんだから、ある意味芸能人の行為は全て「売名行為」だ。
芸能人の皆様は是非とも外野のヤジを恐れることなく自分のできることを行っていただきたいし、我々もそうあるべきだと思う今日この頃だ。

*1:2016年4月22日現在

*2:不特定多数VS特定人だからね

*3:被災者の気持ちを思え的な言説をされるとそれに対する反論は不可能に近い

最近読んだ本「ちょっと気になる社会保障」

ここ数日熱を出しており長々と文章が書けないので最近読んだこちらの本

ちょっと気になる社会保障

ちょっと気になる社会保障

からメモ。

「生産物こそが重要(Output is central)であり、年金受給者は金銭に関心があるのではなく、消費に関心がある(食料、衣類、医療サービス)。このように鍵となる変数は、将来の生産物である。賦課方式と積立方式は、単に、将来の生産物に対する請求権を組織的に設定するための財政上の仕組みが異なるに過ぎない2つのアプローチに違いを誇張すべきではない。」
(18頁)

年金を賦課方式(現行の制度)を維持するか、積立方式に舵を切るかという問題で、積立方式を「インフレには弱いが少子化には強い」「世代間の不平等」を理由に支持する人もいるのだが、こと少子化に関して言うならばどちらも同じく影響を受けるということだ。
このことは当の厚労省も理解しており、
www.mhlw.go.jp
においてf:id:kodebuya1968:20160321102514j:plainという図表にしている。
また、同書が引用する厚労省年金局作成資料によれば

生産物(商品やサービス)は積み立てられないため、高齢者への生産物の分配手段-①私的扶養、②私保険・貯蓄、③積立方式の公的年金、④賦課方式の公的年金-のどの分配手段でも、その年々に現役世代が生み出した付加価値を、現役世代と高齢者で分け合う構造に変わりがない
(24-25頁)

ともいっている。

どの方式であってもいまの少子化が続く以上は現役世代の負担増は免れないということだ。
現役世代の負担増による不平等感は、現行の年金制度そのものの問題ではなく、増加する高齢者の消費を現役世代が支えなければならないというところにあるということだ。

国民健康保険税の逆進性

サンデー毎日の「国民健康保険料 こんなことが許されるのか! “サラ金”より酷い! 非情取り立ての実態 生活費も子ども名義の生命保険も」
http://mainichi.jp/sunday/articles/20160222/org/00m/040/008000d
という記事を読んだ。

かってあったサラ金パニックの時代と異なり、まともなサラ金業者であればコンプライアンスは守って当然ということになるので、題名は少々言い過ぎのような気もする。
ましてや国民健康保険料の徴収については、国税滞納処分の例による強制執行が認められていることを考えるといくらでもやりたい放題という事態になることは当然といえる。

この記事を読んで「なんかで同じような話を読んだぞ」と思ったので本棚をひっくり返すとこの本に同じようなことが書いてあったのだった。

消費税のカラクリ (講談社現代新書)

消費税のカラクリ (講談社現代新書)

ここでもやはり徴収する側のノルマがありというような話になっていたのだが、大体きついノルマを課すと担当者が暴走するのは商工ローンでも同じ事だったわけなのだからノルマで人を動かすやり方自体に危険性があることをもっとマネジメントする側はわかった方が良いのではないかと思ったのであった。

ここまでは前振りで、本題は国民健康保険の逆進性ということだ。

そもそも国民健康保険料(税)はどのような算式で計算されているのか?

市区町村によって料率などに違いがあるのだけれども、
国民健康保険料の計算方法をわかりやすく解説|知っておきたい税の基本
にあるように((大阪市の例))
f:id:kodebuya1968:20160228131251j:plain
世帯全員の収入に対して料率をかける所得割だけではなく、1世帯単位にかけられる平等割(定額制)、被保険者数の頭数に所定の金額をかける均等割を加えて算出するということだ。

単に応能負担というだけではなく(協会けんぽや組合健保は応能負担のみ)、一律にかけられる負担がありそれが結構な金額になりかねないということが問題となる。

国民健康保険料(税)と定額負担

元々国民健康保険は会社員等が加入している健康保険をモデルにして作られたものであったが、当初予定していた加入者は会社員等以外の自営業者とその家族と考えていた。
「保険」である以上、被保険者は保険料を支払うことで万一の場合の保障を受けることができ、かつ、被扶養者という概念がないものだからご隠居さんやそのお店の子ども達といった稼がない人々の保険料を算定する場合に定額負担をさせるということはそれなりに合理性があったのだろうと思う。

そこで逆進性が生まれた

しかし、いまや自営業者は減少の一途をたどっており、国民健康保険の加入者として占める割合は減りつつある。
その一方で、
後期高齢者
ニート
・働く能力を欠いた人*1
の占める割合が相対的に増加してきた。
彼等の多くは年金を受給したり、もっと酷い場合は無収入に近い状態であったりする。
そうなると定額負担分が彼等の背中にのしかかってくるということになる。

例えば
算定基礎収入が120万円の者(一人暮らし40歳未満とする)の保険料負担額は148,108円となり、収入に対する負担割合は12.34%になるのに対し、
算定基礎収入が500万円の者(一人暮らし40歳未満とする)の保険料負担額は449,828円となり、収入に対する負担割合は9.00%になる。
逆進性が生まれるのだ。これにさらに子どもなどを追加していくとその差はますます拡大していく。

国民健康保険こそ応能負担の原則に忠実であるべき

現在の日本では「国民皆保険」の建前があり、国民健康保険を脱退するには協会けんぽや組合健保等の加入員になるしか方策がない。
任意脱退することができない以上、能力に応じた程度での保険料負担*2をする必要はむしろこちらの方が高いのではないか。

自治体によっては「税」と同じ扱いにしているが、税というのであれば減免措置があることを確定申告の書類にあるのと同様に被保険者に通知するべきだともいえるだろう。
因みに納税の義務は応能負担を意味するのであって、絶対的に義務に応じなければならないものではない。
国民健康保険についても、どこまで有効化はわからないが*3、状況が悪化したというのであれば速やかに自治体の国民健康保険課に相談するのがまず解決への第一歩だろうと思う。

*1:それは障碍を意味しない。乳飲み子を一人で抱え就職もままならない母親・父親といった方々も含まれる

*2:要するに協会けんぽや組合健保等の計算方法

*3:知らないことを良いことに丸め込むということも多いだろう

「すご腕社労士」様が3か月の業務停止に

自称「すご腕社労士」の「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章を載せた問題であるが、厚労省が処分を決めたようだ。
headlines.yahoo.co.jp

愛知県内のベテラン社会保険労務士の男性がブログに「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章を載せた問題で、厚生労働省は4日、懲戒処分に向けた聴聞手続きを愛知労働局で開き、業務停止3カ月とする方針を本人に伝えた。

 社労士は「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」として、業務停止でなく戒告にとどめるよう求めた。厚労省は本人の釈明を踏まえ月内にも処分を決める。
(以下省略)

社労士の懲戒処分については重い順に

  • 失格
  • 1年以内の業務停止
  • 戒告

となるが、この中でも業務停止になる公算が高くなったということだ。

「なんだ失格ではないのか。3か月とはいかにも軽い」と考えてしまうが、実際同人は既に所属している県の社労士会から3年間の会員権停止処分と退会を勧告されている状態であり、また悪名を轟かせてしまった以上、同社労士を顧問にしたり労務相談をしてしまうとそれだけで事業主にとってリスクを背負い込むことになりかねないからだ。
仮に同人を顧問に抱えている事業主に労務トラブルが起こり、あっせん・調停が不調となり訴訟に移行したとしよう。
通常の場合であれば事業主側の故意過失を立証するのは労働者側であるので立証責任はそれなりに困難さを有するが、この社労士を事業主が顧問にしているということだけで「故意又は重大な過失」が事業主側にあると立証されることになり*1、その点から立証は極めて容易になる。よって事業主は損害賠償責任を負う可能性が高くなってしまうといえるためである。

日本の企業は一部を除き解雇自由の状態であることは
大企業だからだろう - kodebuyaの日記
で引用したとおりであり、わざわざ「うつ病」に罹患させる手間や問題になったときのリスクを負うまでのことはないと思うのだが、件の「すご腕先生」そこまでの現状はご存じではなかったらしい。

大先生はfacebookあたりで「解雇は愛だ」と宣っておられたかと記憶するが、同人の「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」とか「「適切合法なパワハラを行ってください」「万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」」という言葉になんの労働者に対する愛情は感じられないし、「モンスター社員に精神的打撃を与える事が楽しくなりますよ」という言葉にも事業主に対する愛情も責任感のかけらも感じられないのはどうしたことか。
同業者には「愛情」という言葉で正当化し、それ以外の人間には無知を良いことに「刺激的なことを言えば良い、最期の責任は事業主が負うからオレは関係ない」という臭いしかしないのだ。

そして何より頭にくるのは
当初は

「世間をお騒がせしたのは申し訳ないと思っています。一部、筆が滑って過剰な表現はありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」

うつ病に罹患させるのもやむを得ないと言わんばかりの弁明をしておきながら、厚労省の弁明の機会の付与の際には

「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」

と主張を後退させたことだ。
なんだ、大先生も問題があると思っていたんじゃないか。

*1:同人は「筆が滑って過剰な表現はありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」とかっては主張しており所謂「確信犯」であるといえる 「社員をうつにする方法」ブログの社労士に退会勧告 愛知県社労士会【ブラック士業】

求職票と労働契約内容が異なるとき

昨日記事*1を書いたのは理由があって、数日前にこちらの記事を某所で知ったことによる。
「職安法に違反」遺族が刑事告訴 帰宅中に事故死 東京 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
<<
帰宅途中に交通事故死した男性の遺族が22日、ハローワークの求人票と異なる長時間労働を強いられたとして、職業安定法違反罪で、男性の勤務先だった植物ディスプレー会社(東京都)に対する告訴状を警視庁に提出したと明らかにした。

 告訴状などによると、渡辺淳子さん(59)の次男、航太さん=死亡当時(24)=はハローワークの求人票で同社を見つけ、平成25年10月に就職。求人票での雇用形態は正社員で、時間外労働は月平均20時間と記載されていた。だが、約半年間はアルバイト契約で週6日、フルタイムの勤務を要求されたほか、月100時間超の残業をさせられたことは「職安法に違反する」としている。
(以下省略)
>>
初め見たときは「あぁまたか...」と思ったのだが、よくよく読んでみると「<b>職業安定法</b>」違反で事業主側を刑事告訴をしたというあまり聞かない事例だったのだった。
しかもこの手の話は本来労働基準監督署に告発するものかと思うが、警視庁に告発したということは労働基準監督署側の対応が酷かったのだろうかと邪推してしまう。

それはともかく、確かに職業安定法65条によれば
<<
第六十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを<b>六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。</b>
一  第十一条第三項の規定に違反した者
二  第三十二条の三第一項又は第二項の規定に違反した者
三  第三十三条の二第一項又は第三十三条の三第一項の規定による届出をしないで、無料の職業紹介事業を行つた者
四  第三十六条第二項又は第三項の規定に違反した者
五  第三十七条の規定による制限又は指示に従わなかつた者
六  第三十九条又は第四十条の規定に違反した者
七  第四十八条の三の規定による命令に違反した者
八  <span style="color: #ff0000"><b>虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者</b></span>
九  労働条件が法令に違反する工場事業場等のために、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者、又はこれに従事した者
>>
とあり、この「広告」は文字通り広告であって、公共職業安定所(以下職安)に対してだろうが民間の職業紹介事業者に対してだろうが関係なく適用がなされるものだと解釈されるべきだからだ。

だいたい、職安の求人票には嘘が多いということは以前より指摘があったところであり、これら指摘を受けて厚生労働省
ハローワークでの求人票と実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します |報道発表資料|厚生労働省
というマスコミ発表をしなければならないことになった。
上記発表によれば
>>
平成 24 年度に全国のハローワークに寄せられた申出で、求人票の記載内容と実際の労働条件が違うといった申出は、 7,783 件でした。申出の内容の上位は、賃金に関することが 2,031 件( 26 %)、就業時間に関することが 1,405 件( 18 %)、選考方法・応募書類に関することが 1,030 件( 13 %)でした。
<<
ということであり
<<
ハローワーク求人ホットライン」を開設するなど、ハローワーク公共職業安定所)で公開している求人票の記載内容と、実際の労働条件が異なる場合の対策を強化します。
>>
とあるが、実際のところといえば
ハローワークの求人票と全然違う!!: 須田みき
にもあるように殆どなんの対策もなされていないというのが現状のようだ。
上記記事から引用する。
<<
ハローワークからその会社に調査や指導をしてもらうことはできますか?
⇒できません。調査や指導をする機関ではないからです。雇用契約書と実際の労働が異なる場合は、担当機関が労働基準監督署になります。

こんなひどい会社なので、求人をハローワークに受付拒否してもらうことはできますか?
⇒現在はできません。今後はどうなるかわかりませんが、今のところそのような法律や制度がなく、ハローワークは全て受け付けなければならないからです。

働き始めて1ヶ月が経ちますが、求人票と同じ条件にしてもらうことはできますか?
⇒求人票と異なるとしても雇用契約を結んでいるので、その条件に納得して働いているということになるため難しいですが、交渉は可能です。

求人票と異なることについて罰則はないのか(`・ω・´)
⇒現在はないです(ーー;)労働基準法違反でもありませんから、労働基準監督署でも取り締まれません(で書いたのは、求人票ではなく雇用契約書と異なる話です)。
>>
つまり
「求人とはあくまで契約の誘因であって、実際は雇用契約をしてしまうと民法上の契約自由の原則が働いてしまうことから、雇用契約が求人票のそれと異なる場合は雇用契約が優先する。」ということらしい。
ずいぶんな話だが、職安に求人票を提出する際には就業規則など書面の提出は何ら必要がないことから、職安は提出された求人票を受理する敷かないのだそうだ。
流石にこれは酷すぎるということで厚労省も重い腰をようやく上げて今年の3月から以下のような対応をするとのことだ。
ブラック企業の求人は門前払いに 来春からハローワーク:朝日新聞デジタル
>>
新制度は、10月から順次施行されている青少年雇用促進法に基づく。ハローワークでの求人は原則、企業が出したものはすべて受け付けなければならなかった。だが新制度では「ブラック」な企業の求人は受理しないようになる。違法な長時間労働や残業代を払わないといった違反を1年間に2回以上、労働基準監督署から是正指導されるなどした企業が対象となる。
<<
同じ厚労省の(というよりどちらも旧労働省管轄にもかかわらず)連携がようやく取れるということのようだが、労働基準監督官も不足する状態の中でどこまで有効な対策なのかには疑問がある。

今回の件で私の知人は「労働基準法15条2項*2適用で契約の即時解除が可能なのではないか?」といっていたが、職安の求人票には労働基準法15条2項のいう「明示された労働条件」が必ずしも記載されていないので即時解除は難しいのではないかと思う。

そこで、昨日の記事のような手段を取るのもやむを得ない対抗策なのではないかと思ってアップした。
ちなみに、このような企業がやりかねない嫌がらせとしては
離職票を出さない。
・離職理由を「自己都合」、もしくは「懲戒解雇」として給付制限をかける。
ということが考えられる。

離職票を出さない場合は自分の住所地管轄の職安に出向き、「確認の請求」を行えば、会社に対して離職票を出すように指導してくれる。会社が退職の事実は認めても離職票の提出に応じないという場合には、職安が職権で証明することも可能だ。

離職理由については、労働契約と実際の労働が著しく異なる場合や、離職直前の 6 か月間(賃金締切日を起算日とする各月)の間に 45 時間を超える時間外労働が 3 月連続してあったため離職した場合、100 時間を超える時間外労働が1月あったため離職した場合、又は 2~6 月平均で月 80 時間を超える時間外労働があったため離職した場合等は、自己都合退職であっても「特定受給資格者」として給付日数を大幅に増加させることもできる*3
今回の事件は労働時間を理由にする退職も可能だったはずであり、そのような労働法規に詳しい人に相談できなかったことが悔やまれる。

*1:
逃げろ逃げろ - kodebuyaの日記

*2:前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

*3:ただしこのような場合では事業主が事実関係を認めるとは考え辛いため、自分でエビデンスを用意する必要もあるだろう