kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

池上彰の「「金持ち優遇税率」というけれど」という記事

今人気の池上彰の記事
「金持ち優遇税制」というけれど | 池上彰 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「実はアメリカでは、最富裕層の所得税率は低所得の国民と比べて非常に高い。年間所得が100万ドルを超える国民が納めている連邦所得税率は平均29%強だ。所得が減るに従って税率は変化し、2万〜3万ドルだと5・7%にまで下がる。上位20%の高額納税者が、連邦税総額の実に70%近くを負担している」

 うーむ、これを読むと、アメリカの税制に対する印象が変わります。アメリカも累進課税をしているではないか。

id:dongfang99氏経由より知ったこちら個人所得課税の実効税率の国際比較(夫婦子2人の給与所得者):財務省 を見ると、累進課税ではあるけれどもという程度の話だ。

これを踏まえて池上氏が

日本に比べれば、まだまだ低いではないか、と突っ込みを入れたくなりますが、それでも、アメリカでも高額所得者は税負担の割合が低所得者より大きいというのは意外でした。なんで日本の新聞は、こういうことをきちんと書かないのか、と思ってしまいます。

と書くのは、本当にそうなら自分が不勉強なだけだろうと嫌みの一つも言いたくなるほど酷い書きようだと思う。

しかしこの文章の肝はそこにはない。実際はここだ。

株式投資など投資活動を活発にするために、投資の収益に関して低い税率を課すというのは、理論的にありうることです。投資できるのは富裕層ですから、結果的に金持ち優遇税制になっていますが、アメリカの株式投資は多くの中間層が関わっています。キャピタルゲイン税を引き上げると、中間層に打撃を与える可能性があるというのです。

確かに日本の累進課税はそれなりに高いのかもしれないが、実際に日本の富豪が富豪たる所以は海外からの投資を促進させるという名目で導入されたキャピタルゲインの分離課税であって、それが富が富を生み出すような仕組みになっている。

アメリカでも事態は同様であって、これが1%の富裕層が富を独占する力の源泉になっている。

この文章は、キャピタルゲインをウォールストリートで始まったデモのように問題にし、結果としてキャピタルゲイン税を引き上げるようなことをすれば、多くの中間層に結果として打撃を与えかねない。そのようなことをしていいのかと恫喝するものだ。

池上彰は「わかりやすい」をキーワードに政治経済の解説をしてきて人気になった人だが、この文章はそれを逆手に取った内容のようにしか私には読めない。