中曽根康弘を批判できなければ
Nabe Partyの新着記事Nabe Party 〜 再分配を重視する市民の会 【緊急寄稿】 原発推進も、TPP推進も、格差社会も根っこは同じだ。が公開された。
非常にまとまった記事であり私も勉強になった。
記事の題名自体は、以前から私も感じていたことで、沖縄に米軍基地と基地がもたらす様々な事件を沖縄に負担させることで日本本土は安心を手に入れていたことと、福島に原発を負担させることで東京をはじめとする東京電力管轄は快適を享受していたことは構造が同じだと言うことで、原発反対を主張するならそれと同じくらいの声で沖縄から米軍基地を撤去せよと言わなければならないのではないかということだ。
記事自体に指摘することはないが、今更ながら思うのが「大勲位」中曽根康弘はもっと日本の戦後政治史で(いろんな意味で)評価されるべきではないかと思う。
記事はこう指摘する。
元は税金である公共投資の一部を掠め取っていた、上記の「土建利権屋」も悪ではあったが、その後、公共投資が一巡し、高度経済成長の時代が終焉したのちの不景気の時代に、中曽根と言う、核保有目的で原発を導入し、軍拡路線を進む、従来とは違うタイプの、いわば「都市型利権政治屋」が登場し、国民に直接お金を落とした公共事業をメインにするケインズ思想の経済政策から、「強い物(金持ち)がより豊かになり、金を持たない人間はひたすら、貧乏になる」という、「新自由主義(ネオ・リベラリズム)」思想による経済政策(マネタリズム)にシフトしたのであった。
その中曽根は「めざしの土光さん」こと土光敏夫を座長とする臨調を通じて「官から民へ」という小泉改革の先鞭をつけたのだった。
しかもそれは国労を敵として、国鉄や電電公社を分割させた。
この手法も小泉改革と共通するものだ。
そしてその中曽根はこの記事では
同時に「規制緩和」と言う、大企業に有利な政策誘導で、一時的な好景気を作り出した結果が「バブル」の時代である。「バブル」のそもそもは、中曽根が東京の山手線内側の建築規制を緩和し、「再開発ブーム」に火をつけた事が遠因とされる。
と評価されている。
ならば中曽根は「失われた20年」の立役者であり、今の福島の事態を引き起こした張本人の一人だといえる。
しかし、小泉純一郎とは異なり、中曽根に対する批判は余り聞こえないように思える。
かのデヴィド・ハーヴェイもその著書
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ではあまり日本について言及しておらず、監訳者渡辺治氏がその付録で日本の新自由主義を俯瞰しているのだが、その中では日本の新自由主義は細川内閣から始まったと評価している。
確かに細川内閣以降、橋本内閣までは構造改革の名の下に新自由主義的政策が行われ、特に橋本龍太郎は「橋本六大改革」と銘打ってさらなる改革に邁進したのであったが、その結果は北海道拓銀や山一証券や三洋証券を廃業に追い込み、恐慌一歩手前にまで日本経済を追い込んだのであった。
ちなみにその後小泉純一郎と自民党総裁選を争ったことで、「守旧派」のレッテルを貼られた感のある橋本龍太郎であるが、実際は元祖改革派だったことは記憶しておくべきだろう。
橋本はその後亡くなったが、大勲位中曽根は未だに健在である。
政治の問題だけではない。
「土人女を集め慰安所開設」/中曽根元首相関与示す資料/高知の団体発表最近新たな資料が発見された。
この点も含めて中曽根はもっと批判されるべきだと思う今日この頃だ。