kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

もちろん借りたものは返さないとだめよ

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民主党は1日、司法修習生に月額約20万円を支給する「給費制」を廃止し、無利子の「貸与制」に移行する政府方針を了承することを決めた。党の判断を一任されていた前原誠司政調会長が同日の政調役員会で報告した。
 前原氏は記者会見で廃止理由について、「私も父を亡くしてから奨学金を活用し、中、高、大学と学ばせてもらった。借りたものは返済することが法曹界に限らず基本だと思う」と説明。経済的な困窮者には返済猶予措置を講じると強調した。
 政府は貸与制移行のための法案を今国会に提出する方針だが、民主党内には給費制存続を求める意見も強く、法務部門会議で議論していた。 

司法修習生と普通の学生とを一緒くたにする議論にもあきれるばかりだが、問題は借金を抱えさせた司法修習生が社会に出た場合と普通の学生が奨学金の返済を抱えて社会に出ることの違いがあるだろうということだ。

もちろん返還を前提とする奨学金を受給したのであればそれは返還しなければならないのはいいとして、司法修習生の場合は「給費」つまり給料。
給費性にしているということとは、国がお金を支給してでも法曹を養成したいという意思表示なのだ。それを貸与扱いにするということは、「研修は自分の利益にしかならないのだからその費用は自分で用意すべきだ」と言っているに他ならない。

法曹になるのも、教育を受けるのも自分の利益になるのだから自己責任だということで、これってレーガンあたりが主張していたことと同様であり極めて新自由主義的な物言いだと思う。
今でも法曹になろうとすれば、法学院大学に通い、受験予備校に通うなど費用が尋常じゃなくかかる。それに加えて修習生期間も費用を自己負担せよということになると、親兄弟が高所得者でなければ法曹にはなれないということにもなりかねない。検事・判事にでもなれば身分は保障されるであろうが、間違って弁護士にでもなろうものなら莫大な借金を背負って社会に放り出されることになる。こんな弁護士が本当に社会的弱者のために仕事ができるのか?

個人的な経験から私は別に弁護士が正義の味方だとは思わないが、借金を抱えた新米弁護士が費用の支払いすらおぼつかない社会的弱者の権利を守る事件を担当するのと確実に費用の支払いが見込める社会的強者の担当をするのとどちらがあり得るのかを考えると残念ながら後者を選ぶ弁護士が多くなるように思える。彼らだって食っていかなければいけないし。

かって森永ヒ素ミルク事件や、豊島産業廃棄物問題を担当し、弱者の味方といわれ、また住専問題では「平成の鬼平」といわれた中坊公平だってその配下の若手弁護士を「食わせるため」として企業の顧問弁護士にねじ込んでいたと聞く。あれほどの有名弁護士であっても事務所を運営するのは大変なのだ。それ以外の弁護士については言わずもがなだろう。こんな状態が常態になればどうなるのか。

前原にせよ橋下にせよ自己責任をまき散らす人間は自分の努力を人に押しつけたがる傾向があるみたいだ。これも新自由主義者の特徴なのだろう。