kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

属人的問題ではないのでは?

大阪市交通局の前市長へのの支援を求める職員労組名義の職員リストを大阪市の臨時職員が捏造(ねつぞう)していた問題だが動機についてこのような話が出てきたようだ。

朝日新聞デジタル:大阪市職員、リスト捏造認める 「労組告発したくて」 - 政治

昨秋の大阪市長選で前市長の支援者拡大を職員労働組合が徹底させる内容の職員リストが捏造(ねつぞう)された問題で、架空の文書を作成した疑いがもたれていた市交通局の非常勤嘱託の男性職員が27日、同局の事情聴取に対し、捏造を認めたことが分かった。職員は「文書を大阪維新の会の市議に持ち込んだ」とも話しているという。取材に対し、同局が認めた。同局はこの職員を27日付で解職するとともに、刑事告発を検討する方針。

 捏造と判明した文書「知人・友人紹介カード配布回収リスト」について、男性職員は27日、交通局の調べに「誰かに作成を依頼されたものではなく、自分が作った」と説明しているという。

 動機については、昨秋の市長選では職場内で労組による紹介カードが配られているのを目撃したと主張。そのうえで「ひどいと思い、何かしらの形で告発したいと思った。正義感からやったがだめなことをしてしまった」「明るみに出れば、騒ぎになると思っていた」などと話しているという。文書を送った維新市議については「以前から面識があった」と説明しているという。

もちろんこの人物がやったことは批判されるべきだが、ことはそれで終わっていいのかなと思う。

民間でも組合がある会社であれば選挙のシーズンになるとこのようなことはある意味風物詩であって、私も親兄弟の名前を勝手に使ったこと(かあちゃんごめん)がある。
こんなことが実際の選挙結果にどんな影響があったのか分からないけれども*1私自身はといえば投票行動になんの関係もなかった*2。大阪市長選挙とは異なるかもしれないが、実際の投票行動まで組合が縛ることは実質不可能なわけで、せいぜいやる意味があるとすれば組合の団結力を誇示する以上のものはないんだろうと思う。

だからこの職員がなぜここまでしたのかが解せない。

この職員はいう。
「ひどいと思い、何かしらの形で告発したいと思った。正義感からやったがだめなことをしてしまった」
なぜ告発が正義なのか?

そこに私は非正規労働者に対して冷たかった企業組合を見てしまう。
この職員にしてみれば、組合に加入していること自体が「既得権益」に見えたのではないだろうか。
そして非常勤職員のこの人はもしかしたら目に見えない差別感を感じていたのかもしれない。

これはこの人個人の問題ではないと思う。

確かにここ20年くらいの企業のリストラ攻勢はえげつなく、組合はとにかく最低ラインとして組合員の生活を守ることを最低防衛線としていたこともあり*3、その企業が抱える非正規労働者の権利については二の次という部分があったことは事実としてあると思う。

そして日本の企業の場合新卒で入社しないと組合とは無縁のまま職場を転々とすることになりかねず、そんな人々にしてみると組合員なんて同じ仕事をしているのにたまたま正規社員として採用されたというだけで権利を主張していると思うのかもしれない。このような人にしてみれば大阪市交通局組合の行為は「仕事もせんと何遊んどんねん」と、全く許せないものにしか見えないのかもしれない。

もしそうなのであれば属人的問題にしてしまうのは何か違うように思える。
今後の労組の運動は加入者を超える必要があるのではないかな?
そうでなければ結局「分断して統治」されることになり、労働者全員が不利益を被ることになるように思う。

*1:組合の説明ではこのようなカードがたくさんあれば非礼名簿の順位が上がるということだった

*2:だって組合が支援していたのは民社党だったし(爆)

*3:だから組合が率先して人員削減をしていった側面もあると思う