kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

柔道の体罰と桜宮高校と丸刈り謝罪と

桜宮高校のクラブ顧問の体罰を苦にした生徒の自殺の波紋は大きく広がり、柔道女子日本代表が代表監督を体罰で告発した件*1で代表監督が辞任する騒ぎとなった。

私自身はこの件に関して言えば、体罰なんて論外だとありきたりのことしか言えないが、
引っかかったのはこの金メダリストの発言だった。
吉田沙保里「毎日殴るのはおかしい」 - スポーツニュース : nikkansports.com

前人未到の世界大会13連覇を達成し、朝日スポーツ賞を受賞した吉田沙保里(30=ALSO)が31日、体罰や暴力行為などで揺れるスポーツ界について持論を展開した。

 3歳のときから父栄勝さんの指導を受けて競技を始めており、練習で手を上げられることもあったという。「私はコーチが親という環境でしたが、もちろん殴られることもあった。でも、それは“愛のムチ”だと頭で理解していたから体罰とは思わなかった」と振り返った。

 選手を強くしようという気持ちが高じてのことに「なぜ殴られているのか、殴られている側が理解しているかどうかだと思う。毎日、殴ったりするのは明らかにおかしい問題」と自分の考えを示した。受賞のスピーチでは「スポーツ界は体罰の問題などで大変なことになっていますが、私はスポーツの素晴らしさを伝えていきたい。東京五輪の招致を目指していきたい」と決意を新たにしていた。

 [2013年2月1日9時9分 紙面から]

「毎日」じゃなければいいのか、とか突っ込みたいところも多いが、気になったのは赤字ボールドで引用した部分だ。
それを言ってしまえば、桜宮高校の彼も柔道女子日本代表も理不尽な体罰ももちろんあったとしても、それらの多くはなぜ自分達が体罰を受けているのか理解をしていた上でなされていたであろうことは十分予想できる。
彼等はこのような扱いを日常的に受けることである種のマインドコントロール状況に置かれてしまっていたのではなかったか?
そこでは、強力な同調圧力が働いていたのではなかったか?

理不尽な暴力や理由のわかる暴力をうけることで、選手達が指導者の支配下に置かれていった有様は先日社会を騒がせた尼崎の事件を彷彿とさせるものだ。

これと同じ臭いがするのが国民的アイドルグループにおこった丸刈り事件だ。
出来事自体はあまりにもくだらないので引用するのは避けるけれども、要するに「恋愛禁止」を掟とするグループの中で恋愛事件が発覚し、当事者の女性が反省を表すために頭を刈り、その姿をYouTubeに投稿した*2というものだ。
グループ内では過去も同様のことが怒った際に、芸能界引退や類似グループへの移籍を行っていた。不文律の掟なのだから懲罰も決まりがあるわけではない。

このグループのプロデューサーは「恋愛禁止」ではないと公言していたのだからそもそも反省すべき筋合いのものではないはずのものなのだけれども、そうしなければグループに残ることが出来ないという有形無形の圧力があり*3、結果としてやくざの「指つめ」ではないけれども目に見える形での反省をすることを余儀なくされたということもあるだろう。

これらに共通することは、閉じられた社会の中では同調圧力が生じるということだ。
桜宮高校の場合、体育科に所属する条件にクラブ活動に所属することということがあって退部するということは退校することと同義だったといわれている。卒業するためには何をすべきかという圧力に押しつぶされていったのではなかったか。
柔道女子日本代表も指導者と対立することが今後の代表選考に大きな影響が出るということは十分認識していただろう。
国民的アイドルグループの場合は、グループに残るなら何をすべきかということを否が応でも過去の事例と照らし合わせたうえでの行動だっただろう。
吉田沙保里はいみじくも自分のコーチが父親という逃げ切れない環境の中で体罰を受け入れていったことをいみじくも上記の記事で露呈した。

彼等は自分の意思で行動を選択したと思っているかもしれない。
しかしその実際は強烈な圧力の中、その選択肢しかないことを認識するかしないかは別として、選択をしてこのような状況になってしまったのだと思う。

*1:告発は昨年12月になされた

*2:現在は削除されて見ることはできない

*3:もちろん一連のことについては丸刈りにしたことをもって大騒ぎさせることで本来の恋愛問題をうやむやにする目的があったことは言うまでもないだろう