kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

自民党の子育て政策に呆れる

私の職場の人で、先日まで親御さんの介護休暇を3ヶ月取っていた人が突然退職した。

初めは「介護に専念するのだな、大変だな。自分も近い将来人ごとでは無いな」程度にしか考えていなかったのだけれども、後々漏れ聞こえた話によると、復職とほぼ同時に退職勧奨を会社から受けてしまい、本人は全く納得していなかったが、それに応じざるを得なかったというのが本当の話だったということだった。

育児介護休業法*1によれば、事業主は、労働者が介護休業の申し出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない*2と規定しているのであるが、そこには大きな抜け道があって、労働者の責めに帰すべき理由その他の合理的な理由がある場合については介護期間休業中の労働者であっても解雇することは可能であると解されている。
先の職場の人の場合は退職勧奨という不利益な取り扱いと評価できる取り扱いを会社から受けていると言っていいと思うのだけれども、本人の仕事の不手際*3やその他合理的な理由をかこつけて実際は育児介護法違反を会社は問われることはないんだろう。

話は変わるが朝日新聞デジタル:少子化対策、首相側近が相次ぎ異論 政権方針に - 政治によれば

少子化対策を検討する自民党の人口減少社会対策特別委員会(猪口邦子委員長)の会合で22日、待機児童解消に向けた保育所整備を掲げる政権の方針に異論が相次いだ。声を上げたのは、安倍晋三首相の側近議員たちだった。

 萩生田光一総裁特別補佐は「0歳児は親と一緒にいるのが望ましい。育児休業制度をきちんと活用できるようにすべきだ」と主張。首相が施政方針演説で訴えた休日・夜間保育の拡充について「間違いだと首相に伝えた」と述べた。

 衛藤晟一首相補佐官も、政府の「認定こども園」の拡充方針について「子どもをどう育てるかという視点が欠けている」などと指摘した。

一見正論(笑)に思えるのだが、萩生田光一の発言は育児介護休業法の実際の運用を知らない噴飯ものとしか言いようがない。
93日間の介護休業だって取りにくい現状があり、1年(場合によっては1年6月)間取得が認められている育児休業の取得のハードルはさらに高い現実がある。

きちんと活用することが出来ない現実があるから待機児童対策をきちんとして欲しいと言うことなのであって、あたかも活用しない労働者に問題があると言わんばかりの言い方は責任転嫁の一言に尽きるものだ。
「育児休業制度をきちんと活用できるようにすべき」というなら企業に対し政治の力できちんと活用できるようにさせるというべきだと思うが、そんなことを言えば「日本は社会主義ではない」とか「契約自由の原則」とか企業から反発を受けるのだろう。

しかもここに名前の出てくる議員はあの「親学」シンパであるということで、結局のところ自民党の子育てはひたすら親に責任を押しつけるものだといえるだろう。

ただただ呆れるばかりだ。

*1:正式名称「育児休業、介護休業等育児または介護を行う労働者の福祉に関する法律

*2:同法16条

*3:誰だってあることだ。例えば会社のボールペンの備品をついつい家に持ち帰ったり、仕事とは関係の無いwebを見てしまったりなんて。