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kodebuyaの日記

再分配にYES!!そして橋下にNO!!の食レポブログです。

博打は自分の金でやれ

今更ではあるのだけれども、やはりこの記事をスルーするわけにはいかない。
年金積立金管理運用独立行政法人の大規模な運用損失を報じるロイターの記事だ。
headlines.yahoo.co.jp

[東京 30日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7―9月の運用損失が7兆8899億円だったと発表した。世界的な株安の影響で利回りは5.59%のマイナスとなり、安倍内閣が主導した昨年10月の運用改革後、初めての赤字に陥った。年金資産の積立金は135兆1087億円と、過去最大に膨らんだ6月末の141兆1209億円からおよそ6兆円減少した。

(中略)

資産ごとの運用損失は国内株式が4兆3154億円(利回りはマイナス12.78%)、外国株式が3兆6552億円(同10.97%)、外国債券が2408億円(同1.26%)と、運用見直しで比重を高めた3資産がいずれもマイナス運用だった。逆に、国内債券で3022億円(利回りは0.60%)を稼いだ。

年金特別会計で保有する短期資産について、厚生労働省は9月末の時点で4兆2000億円としており、GPIFは6月末から国内債券を6800億円程度減らす一方、国内株式を3700億円程度、外国債券を3500億円程度、外国株式を1兆6600億円程度買い増ししたもようだ。

9月末の年金積立金全体に占める保有資産割合は国内債券38.95%、国内株式21.35%、外国債券13.60%、外国株式21.64%となった。

運用の失敗で大規模な穴を開けたということだ。
とはいえ、

10月以降の運用損益はプラスに回復している公算が大きい。指標となる「ベンチマーク収益率」は今年4―10月の国内株式(TOPIX配当込み)が1.93%とプラスに転じたほか、マイナスに陥った外貨建て資産についても、足元で戻り歩調となっているためだ。

との見通しがある模様だが、実際にどうなるのかは第三四半期の運用報告を待つしか無い。
なんでこんな有様になったのか?といえば、

GPIFは、昨年10月末から国内外の株式運用を増やした。現在は国内債券35%(以前は60%)、国内株式25%(同12%)、外国債券15%(同11%)、外国株式25%(同12%)と

国内債券を中心としたこれまでの運用から株式に重点をシフトさせたことによることだ。
また債券についても毎日新聞の11月13日付の特集によれば
http://mainichi.jp/articles/20151113/dde/012/020/003000c

「ジャンク債」と呼ばれる海外の低格付け債での運用だ。格付け機関の評価で「ダブルB」以下のハイリスク・ハイリターンの国債社債のことで、財政不安が続くギリシャ国債もその一つ。先月から新たに購入することが決まった。

 GPIFはこう説明する。「リスクは高いのですが、なるべく安全な債券を慎重に選びます。購入額は外国債(構成比率15%)の中の5%程度。全体としては極めて低い割合です。万一、損が出ても、積立金全体では運用益が出るよう投資先を分散している。全体のリスクは変わりません」(GPIF担当者)

ということで、GPIF側は「安全」を強調するが*1かなりリスキーな運用をしている様に私には思える。

このようにGPIF側の運用方針が変容したのは政権による働きかけが大きいと先の毎日新聞の特集埼玉学園大の相沢教授(金融論)は次の通り指摘する。

相沢教授は「国内株の比率は、34%まで上げられることになっています。安倍内閣は株価連動内閣。今後の政治状況によっては、選挙前に株高を演出するため、株式を買い増しするよう圧力をかけるかもしれない。そうなれば積立金はさらにリスクにさらされる」と話す。

「株あがーれ」とテレビカメラの前で蕪を持ち上げた故小渕恵三元総理以降、歴代の内閣は経済政策の重点を株価対策に置いてきた。これは現政権も同じで、「三本の矢」とか「新三本の矢」とか言っているが株価を官製相場でもなんでも良いのでつり上げることで景気*2を回復することで「民主党政権時代とは違う」ところを見せつけて支持率を維持するという戦略を強く押し進めている以上、半官半民組織のGPIFに抵抗などできるはずもなかったということだ。

もちろん、年金の運用方法については様々な考え方があるだろう。現に確定拠出年金では掛金拠出者自らの判断で株式への投資にをメインとする運用も認められている*3。自己責任で老後の生活費を確保するという確定拠出年金ならではといえる。
しかしGPIFの運用原資は違う。
ある意味強制的に徴収される年金保険料の運用について我々被保険者が物申す手立てはないに等しく、あずかり知らぬところで大損を出しておきながら「高齢者等の生活の保障」といい保険料を上げたり、「子や孫の世代に負担を先送りしない」といい給付額を大幅に引き下げるというようなことがあれば、ただでさえなくなっている年金制度への信頼がますます失われてしまうのではないか。しかもそのようなことになった原因は株価を上げて政権の基盤を盤石なものにするというのだから開いた口がふさがらない。

確かに「運用は長期の視点で判断すべき」というのはそのとおりなのかもしれないが、大きく儲かるかもしれないが大きく損をするかもしれない投資の原資としては年金保険料はふさわしくないと言うべきだ。「長期的に儲かっているんだから大損出しても良いじゃないか」というような話では無いと思う。

私は日本で合法的にできるギャンブルは株だと思っている。
GPIFの職員の英知を絞ってポートフォリオを決定しているのだとは思うが、どこか「これだけの大金を運用している俺たちスゲー」と思っている節があるのではないか?と上記のGPIF側の説明を読んでいるとそのような疑念が頭をよぎるのであった。

いずれにせよ
「博打は自分の金でやれ」
といいたい。

*1:そりゃリスクが大幅に上がったけれどリターンもあるよとは口が裂けても言えないだろう

*2:実感するかどうかは関係ない。数字が上がればいい。なんといっても景気は「気」からだから。

*3:とはいえ確定拠出年金法23条及び同条を準用する73条によれば、「確定拠出年金運営管理機関は、政令で定めるところにより、次に掲げる運用の方法のうち政令で定めるものを企業型年金規約で定めるところに従って少なくとも3以上選定し、企業型年金加入者等に提示しなければならない。この場合において、その提示する運用の方法(第25条第2項及び第26条において『提示運用方法』という。)のうちいずれか1以上のものは、元本が確保される運用の方法として政令で定めるものでなければならない。」とされており、元本保証で運用することを選択することが可能にはなっている