kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

「すご腕社労士」様が3か月の業務停止に

自称「すご腕社労士」の「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章を載せた問題であるが、厚労省が処分を決めたようだ。
headlines.yahoo.co.jp

愛知県内のベテラン社会保険労務士の男性がブログに「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章を載せた問題で、厚生労働省は4日、懲戒処分に向けた聴聞手続きを愛知労働局で開き、業務停止3カ月とする方針を本人に伝えた。

 社労士は「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」として、業務停止でなく戒告にとどめるよう求めた。厚労省は本人の釈明を踏まえ月内にも処分を決める。
(以下省略)

社労士の懲戒処分については重い順に

  • 失格
  • 1年以内の業務停止
  • 戒告

となるが、この中でも業務停止になる公算が高くなったということだ。

「なんだ失格ではないのか。3か月とはいかにも軽い」と考えてしまうが、実際同人は既に所属している県の社労士会から3年間の会員権停止処分と退会を勧告されている状態であり、また悪名を轟かせてしまった以上、同社労士を顧問にしたり労務相談をしてしまうとそれだけで事業主にとってリスクを背負い込むことになりかねないからだ。
仮に同人を顧問に抱えている事業主に労務トラブルが起こり、あっせん・調停が不調となり訴訟に移行したとしよう。
通常の場合であれば事業主側の故意過失を立証するのは労働者側であるので立証責任はそれなりに困難さを有するが、この社労士を事業主が顧問にしているということだけで「故意又は重大な過失」が事業主側にあると立証されることになり*1、その点から立証は極めて容易になる。よって事業主は損害賠償責任を負う可能性が高くなってしまうといえるためである。

日本の企業は一部を除き解雇自由の状態であることは
大企業だからだろう - kodebuyaの日記
で引用したとおりであり、わざわざ「うつ病」に罹患させる手間や問題になったときのリスクを負うまでのことはないと思うのだが、件の「すご腕先生」そこまでの現状はご存じではなかったらしい。

大先生はfacebookあたりで「解雇は愛だ」と宣っておられたかと記憶するが、同人の「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」とか「「適切合法なパワハラを行ってください」「万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」」という言葉になんの労働者に対する愛情は感じられないし、「モンスター社員に精神的打撃を与える事が楽しくなりますよ」という言葉にも事業主に対する愛情も責任感のかけらも感じられないのはどうしたことか。
同業者には「愛情」という言葉で正当化し、それ以外の人間には無知を良いことに「刺激的なことを言えば良い、最期の責任は事業主が負うからオレは関係ない」という臭いしかしないのだ。

そして何より頭にくるのは
当初は

「世間をお騒がせしたのは申し訳ないと思っています。一部、筆が滑って過剰な表現はありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」

うつ病に罹患させるのもやむを得ないと言わんばかりの弁明をしておきながら、厚労省の弁明の機会の付与の際には

「文章が刺激的だったが、うつ病に罹患させるつもりはなかった」

と主張を後退させたことだ。
なんだ、大先生も問題があると思っていたんじゃないか。

*1:同人は「筆が滑って過剰な表現はありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」とかっては主張しており所謂「確信犯」であるといえる 「社員をうつにする方法」ブログの社労士に退会勧告 愛知県社労士会【ブラック士業】