kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

最近読んだ本「ちょっと気になる社会保障」

ここ数日熱を出しており長々と文章が書けないので最近読んだこちらの本

ちょっと気になる社会保障

ちょっと気になる社会保障

からメモ。

「生産物こそが重要(Output is central)であり、年金受給者は金銭に関心があるのではなく、消費に関心がある(食料、衣類、医療サービス)。このように鍵となる変数は、将来の生産物である。賦課方式と積立方式は、単に、将来の生産物に対する請求権を組織的に設定するための財政上の仕組みが異なるに過ぎない2つのアプローチに違いを誇張すべきではない。」
(18頁)

年金を賦課方式(現行の制度)を維持するか、積立方式に舵を切るかという問題で、積立方式を「インフレには弱いが少子化には強い」「世代間の不平等」を理由に支持する人もいるのだが、こと少子化に関して言うならばどちらも同じく影響を受けるということだ。
このことは当の厚労省も理解しており、
www.mhlw.go.jp
においてf:id:kodebuya1968:20160321102514j:plainという図表にしている。
また、同書が引用する厚労省年金局作成資料によれば

生産物(商品やサービス)は積み立てられないため、高齢者への生産物の分配手段-①私的扶養、②私保険・貯蓄、③積立方式の公的年金、④賦課方式の公的年金-のどの分配手段でも、その年々に現役世代が生み出した付加価値を、現役世代と高齢者で分け合う構造に変わりがない
(24-25頁)

ともいっている。

どの方式であってもいまの少子化が続く以上は現役世代の負担増は免れないということだ。
現役世代の負担増による不平等感は、現行の年金制度そのものの問題ではなく、増加する高齢者の消費を現役世代が支えなければならないというところにあるということだ。