kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

解雇の金銭解決がブラック企業の撲滅対策になるとは(呆)

こちらの記事。
zasshi.news.yahoo.co.jp

事例:Aさん、Bさん、Cさんは、いずれも違法な解雇であるブラック「クビ」にあった。その理由は、深夜にわたるプロジェクトの打ち合わせに残業代が出ないことを指摘したら、「トランプショックもあるし、リーマンショックのように今後の情勢は不透明だ。なのに、お前は権利ばかり主張して仕事への積極的な姿勢がない!  もう明日から来なくていい!」という意味不明なものだった。もし、解雇の際に金銭がもらえる制度があったらどうなるのだろう? 

という事例に対し、結論として「金銭賠償をしてあればいいんじゃね。労働者も退職に納得いくので双方がwin-winになるよね。」ということだった。

そもそもそんな制度は日本にはないのか?

よくよく考えれば、多くの大企業は「早期退職プログラム」だの、「転職支援プログラム」などを既に用意しており*1、また、中小企業でも体力がある場合には「退職勧奨」の退職条件の中に「退職金の上乗せ」ということを既にしているのであった。
「退職勧奨」そのものは法律用語でも何でもなく、その性質は「退職契約」といえるものであり、それ故労働者は「契約に合意するかどうかの自己決定権」を有することができるのであったが、この説を採用すると、事業主が所定の金銭要件を満たせば有無も言わず解雇できるということになる。
退職勧奨プログラムのような制度のない会社では、金銭的補償のないままの退職では労働者にとって残るという選択が合理的にはなるが、今後の職場との関係がおかしくなるのはほぼ間違いなく、残るも辞めるも茨の道ということになりかねず、そういう意味では金銭賠償を義務づけるこの制度なら退職の選択は十分合理的な判断といえるだろう。また、事業主にとってもそれだけの金銭を支払ってでも追い出すべき人材なのかという検討を余儀なくされるだろうというのは一応の理はあるだろう。

実際の効果は?

とはいえ、退職金で賠償できる体力のある企業であればそのとおりだろうが、そうではない企業であれば会社側の都合の退職という選択肢を実質的に奪われることになり、場合によっては任意退職を厳しく勧めるということが起こりかねないのではないか。
また、ブラック企業と言えば退職強要だけではなくブラックバイトに代表される退職させないなど人身拘束もあるのであって、筆者の言う「ブラック企業の撲滅」の決め手になるとはとても思えない。売らんが為の題名なのであろうが、羊頭狗肉の感を拭えない。

*1:だからこそ「肩たたき部屋」なるものや、退職強要マニュアルなどが問題になったのであった