kodebuyaの日記

再分配にYES!!そして橋下にNO!!の食レポブログです。

コンビニのブラック問題はコンビニ本部の問題だ

「そこまでして人手不足に拍車をかけたいのか」と思わせるような記事が今月は相次いだ。
http://mainichi.jp/articles/20170131/ddm/041/020/112000c

親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報センターなどによると、女子生徒は1月後半に風邪のため2日間(計10時間)欠勤した。26日にアルバイト代を受け取った際、給与明細には25時間分の2万3375円が記載されていたが、15時間分の現金しか入っていなかった。手書きで「ペナルティ」「9350円」と書かれた付箋が、明細に貼られていた。

 店側は「休む代わりに働く人を探さなかったペナルティー」として、休んだ10時間分の9350円を差し引いたと保護者に説明したという。

 広報センターの担当者は毎日新聞の取材に「加盟店の法令に対する認識不足で申し訳ない」と話した。「労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定めた労基法91条(制裁規定の制限)に違反すると判断したという。

労働者の病気は制裁の対象になるのか?

労基法上確かに「減給の制裁を」することは、事業主の権利であり組織の規律という点からもそれを否定することはできない。
しかしその制裁の原因となる行為は組織の維持のためなら何でも許されるというものではないというべきだ。なぜなら誰しもが望まなくとも罹患する可能性のある風邪・インフルエンザ・事故などによる怪我による人員不測の可能性は事業主が当然にリスクとして予防する義務があるというべきだからだ*1
セブンイレブン本部側は労基法91条違反を問題としているが、そもそもこの件は制裁規定に当てはめていいのかという点が問題なのであって、セブンイレブン本部側の認識に大いに疑問を持たざるを得ない。
欠勤を懲罰対象とするにしても、そのためには就業規則やそれに類したものを店側が作っていたのか?作っていたとしてこのような欠勤を懲罰にできる規定があったのか?その規則は従業員に周知されていたのか?という点をクリアしていなければならないはずである。
まずもってこのような規定を店が置いているということが想定できないためこの点において懲罰そのものが無効であるとしてセブンイレブン本部は店側を指導すべきではなかったのかと言わざるを得ない。

労働者は欠勤することでペナルティを受けている。

月給者についてだが、日本のおそらく殆どの事業所では完全月給制ではなく日給月給制を採用している。日給月給制とは遅刻、早退、欠勤などをした場合は、その会社の規定に基づき給与から相当額が控除されるという制度であり、「ノーワークノーペイ」の原則にのっとったものであるとはいえその比較としての「完全月給制」からすれば実際には欠勤に対する懲罰的な意味合いは否定できないだろう*2
時給者はもっとシンプルだ。働いた時間に対して所定の賃金が支払われる。働かなければ支払いはない。
件の高校生の給与は記事によれば時給のようだが、自分の意思ではない事由であった欠勤にせよ既にペナルティは受けているのであり更なる懲罰は刑法で言えば「二重懲罰の禁止」というものであるといえる。
もし何が何でも懲罰をしたいということであったのであればその欠勤は有給扱いとして給与を欠勤分まで支給したうえで懲罰するということになるはずであり*3、そんな非合理的なやり方はないというべきだろう。

いくら休んでも労働者を罰することはできないのは事業主にとって不利だという主張

もちろん、ちゃんとした理由もなく*4欠勤を繰り返している労働者を罰したいというのであればきちんと就業規則等を整備すればよいのであって、その手間を惜しんで恣意的に罰したいという権利を持ちたいというのはむしろ事業主にとって甘すぎる考え方と言わざるを得ない。
事業主は労働者を雇用することでビジネスチャンスを喪失せずに済んでいる。この考え方を逆さにすれば労働者の一方的な労働の不提供で事業主はビジネスちゃすを失ったと言っていいものなのだろうかといえば、
「それを見越して事業計画をするのが事業主の仕事」
というしかない。
以前も記事にしたようにこれは経営の問題であって正当な理由のある限り労働者の問題ではない。
だから
セブンイレブンの”新たな”罰金問題が発覚!!「1時間遅刻するごとに6000円の罰金」⇒まだ懲りてないのか!!! | BrandNewS

ことはある意味事業主の無能ぶりを証明しているようなものであり、事態が
【ブラックバイト】「辞めたい」→「殴打、首絞められた」 しゃぶしゃぶ温野菜の元バイト大学生 - 産経ニュース
になり心も体も文字通り傷を受けないうちに退職し、労働基準監督署に駆け込むようにと言っておきたい。

人手不足のはずなのになんでこんな人手不足に拍車をかけることが起こるのか?

コンビニ業界も多分に漏れず人手不足なわけだが、その一つには365日24時間営業というビジネスモデルが当然に人手の確保を前提としているのであって若手が減少していく中でこのモデルを維持するのは難しいということもある。
そして最大の原因と思われるのは「本部が損をすることがない」といわれるフランチャイズ制度にあると思う。
先日恵方巻の廃棄の件でこのような報道がなされた
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170202/k10010862671000.html

機会ロスを恐れ、多く発注してしまい売れ残り廃棄ということなのだが、経済の合理性を考えれば廃棄ロスは損失なので避けるはずなところコンビニ本部は廃棄が出ようが何だろうが、損失は出ず、廃棄ロスはコンビニ店が負う仕組みなのでロスは当然に出るということでそれを恐れるコンビニ店側が「ノルマ」としてアルバイトに購入を「お勧め」しているということだ。
そしてこれは、恵方巻に限らずバレンタイン・ホワイトデー・クリスマスケーキなど本部の企画するもののすべてが対象となるのであった。
ノルマのきつさから下に無理をさせるという点では、フランチャイズ側とフランチャイジー側の関係で成り立っており、それがそのまま事業主(店のオーナー)と労働者の関係に引き継がれてしまっている。ここがコンビニ業界をブラック化している元凶なのだと思う。

*1:休業手当については天変地異など予測不可能な場合の事業所閉鎖には支払いの義務を免除されるが、単なる資金繰り悪化による事業所閉鎖では休業手当の支払い義務は免れないとされている

*2:少なくとも無断欠勤の抑止力になりうるという意味で

*3:もちろん必要な就業規則もしくはそれに類するものが作成されており周知されていることが大前提であるとして

*4:誰が聞いても「そりゃあんたが悪い」といえる程度の理由