kodebuyaの日記

再分配にYES!!そして橋下にNO!!の食レポブログです。

有名ブロガー氏に学ぶ有給休暇

ネタにマジレスなのかかどうか私生活まで知る由もないので軽々なことはいうことができないが、某有名ブロガーが現在前職の会社に対し戦いを挑もうとしているらしい。
労基署に行って、昨年末辞めた会社と戦うことにしました。 - Everything you've ever Dreamed

ここでの論点は以下の3つあると考えている。

1 退職後の有休取得は可能か?未消化の有給買い取りは会社の義務か?

2 協定のない有給休暇の計画的付与は有効か?

3 年休未消化を理由に退職後に退職を撤回できるか?

それぞれを考えてみたい。
某ブロガー氏の目に留まるとは思えないが*1有給とその周囲の確認のために残しておく。

退職後の有休取得は可能か?未消化の有給買い取りは会社の義務か?

有給休暇とは一言で言えば「労働者のリフレッシュを目的とした制度」であって、労働義務がある日を「有給休暇カード」を使ってその職場での労働義務を免除するというものであるから、「労働者が就業していること」が有休取得の要件となる。
だから、有給休暇を退職後行使することはまず不可能というしか無い。

それなら、未消化の有給を会社が買い取れと退職後の労働者が会社に対して主張できるのか?会社はその主張に応じる義務があるのか?ということだが、給与計算上の有給処理方法は給与形態によって2つあって
1:月給者の場合は欠勤控除としない。
2:時給者・日給者はその日分の給与を手当てとして((基本給に組み入れてもいいが、有給と本来の勤務とは分けた方が好ましいと思う))支給する
ということになる。
月給の場合は控除をしないということになる訳だからそもそも制度として有給の買い取りを予定していないと言うべきだ。だいたい有給を会社が買い取れるようにすると全く有休を取得させないという方法が可能になり有給制度の趣旨を没却しかねない。
それでは一切の有給買い取りが認められないのかといえば、例外的に、退職日の段階で消化しきれなかった有給を会社の任意で買い取ることで精算することは認められている。
逆に言えば買い取るかどうかは会社の任意によるのであって、慣例的になっているのでなければ必ずしも買い取る義務は無いと言わざるを得ない。

もちろん、件のブロガー氏が会社と折衝の結果買い取らせることができればいいのだけれどその場合であっても問題は有給の日数が何日残っているかが問題となる。

協定のない有給休暇の計画的付与は有効か?

件のブロガー氏の会社は4週8回の休日の休日制度を取っていたということで、このことは別におかしくはない。ただ、この休日制度は月を単位とはしてはならないので、

4週間ではなく月末〆の1ヵ月間で8日以上休んだ場合、その8日を超過して休んだ分は本人に連絡も確認もなく年休消化として処理

することは「有給休暇の計画的付与協定」を労使間で交わさなければ違法となる。
この制度を組むときに専門家の知識なしにしているとは考えにくく、おそらく労使協定はあるのだろうが、仮に存在しないということであればこの有給休暇のみなし取得は違法でありブロガー氏の計算による有給日数を認めるということになる。

年休未消化を理由に退職後に退職を撤回できるか?

退職の撤回については自己都合退職の場合は認められにくいが、例外として錯誤・詐欺・強迫をうけて退職願や退職届を提出したといったような労働者の自由意思でなされたものかどうか極めて疑わしい場合には例外的に撤回が認められることになる。
問題は有給休暇の日数が12日しかないと「騙されたので」この日に退職したのであってそうでなければ本来の有休取得日数分を経過した日に退職をしていたといえるのかどうかだ。
問題は有給日数が退職を決める重大な要素かどうか、もっといえば有給が全く残っていなければそもそも退職をしなかったといえるほどの要素かどうかにかかっているのではないかと思う。
いや、もし退職届提出から退職日までの間2か月も給与が入っていれば安心して求職活動ができたはずだということであれば全くそのとおりなどだが、そこまでくると労働審判に委ねることになるであろうから、速やかに無料弁護士相談を利用し法的に主張が可能か確認した方が良いだろう。
とはいえ、この場合「有給の計画的付与協定」が有効に成立しているのであれば有給残日数どおり取得したということになってしまうので無意味な主張になってしまう。


なお、主張が認められた場合だが、退職日の訂正届を会社はハローワークと年金事務所に提出し、市県民税についても普通徴収の切り替えの訂正をすることとなる。
雇用保険の求職者給付についてはもし支給されてしまったのであれば返還することとなるし、年金・健康保険の保険料については会社が天引きすることになる。仮に国民年金国民健康保険の保険料を支払ってしまっていた場合には後日同氏に返還されることになるので二重払いにはならない。
また、個人対会社となると話し合いにはまずならないので、どちらかのユニオンを介するのが得策である。労基署も今はやりの過剰労働や未払い残業ということであれば重い腰を上げると思われるがこの件で積極的に動くかといえば悲観的にならざるを得ない。
件のブロガー氏がどう考えるかは関知することはできないが、この件のみで会社とやり合うのは上手いやり方とは思えない。
ブクマにもあるとおり未払い残業でやり合う方が良いように思う。最後「部長」だったそうだが同氏のブログの記事を信じるならば休日出勤も当然な「名ばかり管理職」にしか思えないので証拠がどの程度用意できるかによるが十分そちらの方が勝算があるだろうし入ってくる金銭も有給に比較して多いのではないかと思う*2

*1:同氏曰く社会保険労務士有資格者とのことなので100も承知なのだろう。以前も通勤災害の件でわざと知らないようなふりをした記事を書いていたし。

*2:もちろんそれを折衝材料として同氏主張の有給日数分の賃金を解決金として獲得するという方法もありだけど