失礼を承知で
三十三 英雄
彼はヴオルテエルの家の窓からいつか高い山を見上げてゐた。氷河の懸つた山の上には禿鷹(はげたか)の影さへ見えなかつた。が、背の低い露西亜(ロシア)人が一人、執拗(しつえう)に山道を登りつづけてゐた。
ヴオルテエルの家も夜になつた後、彼は明るいランプの下にかう云ふ傾向詩を書いたりした。あの山道を登つて行つた露西亜人の姿を思ひ出しながら。……
――誰よりも十戒を守つた君は
誰よりも十戒を破つた君だ。誰よりも民衆を愛した君は
誰よりも民衆を軽蔑した君だ。誰よりも理想に燃え上つた君は
誰よりも現実を知つてゐた君だ。君は僕等の東洋が生んだ
草花の匂のする電気機関車だ。――
芥川龍之介はここで「君」をレーニンを想起しながら書いたといわれているが、ここに描かれている「君」の姿が
- 光市事件の弁護団懲戒請求を煽り、自分は懲戒請求を出さなかった
- 「民意が僕を選んだ」と言いながら、Afternoon Cafe 橋下氏の「民意」の化けの皮が剥がれてる一例(学校選択制)で民意を切り捨てる
橋下徹に被って見える。
などと書くと草葉の陰から芥川龍之介とレーニンからフルボッコされかねないな(苦笑)。
少なくともあの男には「草花の匂」はしないし、そもそも「理想に燃え上つ」てなんかいないし。