kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

パブリックエナミー

そういえば昨日、えひめ丸事故が発生してから20年になるのだった。
www.asahi.com

愛媛県宇和島水産高校(同県宇和島市)の実習船えひめ丸がハワイ沖で米国の原子力潜水艦に衝突されて沈没し、生徒ら9人が亡くなった事故から、10日で20年を迎えた。同校では同日、「えひめ丸事故追想の日」式典があり、遺族や生存者、在校生ら265人が犠牲者を悼み、海の安全を祈った。

 事故が起きた午前8時43分。海に沈んだえひめ丸から引き揚げた鐘が犠牲者の数と同じ9回鳴らされ、遺族や全校生徒、教職員らが黙禱(もくとう)した。

 武智誠治校長が9人全員の名前を一人ひとり読み上げ、「あれから20年を迎えますが、この長い歳月をもってしても、志半ばで命を奪われた方々の無念、最愛の肉親を奪われたご家族の心中、生還された方々の精神的・肉体的苦痛を思う時、この事故に対する大きな憤りと深い悲しみは決して癒えることはない。この事故を風化させてはならないという気持ちを改めて強くする」と追悼の言葉を述べた。生徒らは慰霊碑に花を手向け、犠牲者をしのんだ。

そういえば当時の森喜朗首相は事故発生時ゴルフをしており、事故発生の知らせを聞いたにもかかわらずプレーを続行したとして国民の非難を浴びたのであった。
森本人に言わせると

:もう思い出したくもないけど、あれもテレビのいい加減な報道で。あれはちょうど6番か7番(ホール)のときで、そこで秘書官から電話が来たんですよ、「詳しいことはわかりませんが、どうもハワイでこういう事故があったみたいです」って。「じゃあ、すぐ帰ったほうがいいのか?」って聞いたら、「いや、もうちょっと様子を見るからそっちにいてください」と。

 でも、ゴルフ場で座っているわけにいかないじゃない。後ろの組がどんどん来るんだから。そうじゃなくても嫌がられてるんだよ、SPが周りにいるから。だから、早くホールアウトしようとしたら、「事故の報告を聞いてるのにゴルフやってた」とか叩かれて。

 そのあとも「着替えてから(官邸に)行ったほうがいいか?」と聞くと、「そうしてください」って言うんで途中で着替えて行ったら、今度は「すぐ飛んで行かないで、シャワー浴びてから行った」と書かれた。でも、ゴルフウエアのままで官邸に入ったら、今度はなんて書かれたことか!

森喜朗元首相 えひめ丸事件の際にゴルフ続けた理由を明かす|NEWSポストセブン

佐々淳行

「危機管理には総理が陣頭指揮すべき『クライシス・マネイジメント』と、各省庁が国家行政組織法の定めに基づき対処すべき『インシデント・マネイジメント(事件処理)』と『アクシデント・マネイジメント(事故処理)』とがある。(えひめ丸事故が大きな国際的事故であったとしても)すべて総理の責任とするのは日本の法制上から言って誤りである。日米安保条約と日米外交問題は外務省所管だが、一般論から言えば海難事故は国土交通省とその指揮下にある海上保安庁の所管であり、「えひめ丸」が水産高校の実習船であることを考えると文部科学省の所管でもある。このように責任官庁が複合するようなときは、指揮命令系統の統一のために内閣官房を所管とする安全保障会議を開催するのが常道であって、外務省が動いた後に所管は内閣官房に移るので、森総理はゴルフ場からでもひと言「所管大臣は官房長官」と指示しておくだけでよかった。森総理が言うとおり、「えひめ丸」の衝突は事故であるが「総理の危機管理」ではない[40]。さらに、森総理は早く戻ってきた方で、私の経験からすればもっと狼狽した総理はたくさんおられる」

森喜朗 - Wikipedia
側近の「いや、もうちょっと様子を見るからそっちにいてください」というのはプレー中断してゲストハウスで待機してくれということで、後ろに客がいるからなんて言い訳にもならないし、「森総理はゴルフ場からでもひと言「所管大臣は官房長官」」と言わなかったわけだから危機管理できなかったことに間違いはないだろうと言わざるを得ない。
森にえひめ丸の事故それ自体に何の責任はないが、その後の対応の稚拙さには大いに責任がある。ポストのインタビューに見せる無責任な態度は最も批判されるべきだと思う。

そんな森喜朗だが(笑)、以降20年の長きにわたり様々な失言をし何一つ反省せず過ごしてきたわけだがようやく責任を取る機会が訪れたようだ。
www.nikkansports.com

国際オリンピック委員会IOC)は9日、東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長(83)が女性を蔑視する発言をしたことについて「完全に不適切だ」と指摘する声明を発表した。IOCは4日に「森会長は謝罪した。この問題は決着した」との声明を出していたが一転。世論などから批判の声が収まらない状況を受け、あらためてIOCの立場を示した。

    ◇    ◇    ◇

声明では「アスリート、全ての五輪関係者、市民に対しIOCは引き続き男女平等、連帯、無差別への取り組みを継続していく」とあらためて記した。世論や選手、協賛企業から森会長の発言を批判する声が相次いだことを受けた。

IOCの協賛企業は全て国際的な企業であり高い社会的目標を掲げている。そんな中、「問題は決着した」との声明を出しただけでは協賛企業からの理解は得られにくい。最悪の場合、協賛撤退にまで事態が発展する恐れもあるため「多様性、男女平等はIOCの活動に不可欠な要素。森会長の最近の発言はIOCの公約や(改革指針の)五輪アジェンダ2020に矛盾している」と明確な考え方を示した。

声明では森会長の進退には触れていない。IOCトーマス・バッハ会長は、森会長が調整能力にたけ、元首相という立場で国内外の要人に太いパイプがあることから、絶対的な信頼を置いている。しかし、国際的な体裁を守るために4日の声明から一転、世論に追随するような形で、新たな声明を発表した。

森会長は一時は辞任を意識するも、五輪を成功させる決意から続投を決意。ただ発言から週が明けても、世論の批判の声は収まっていない。関係者によると森会長は現在も発言を反省している一方で、家族や親族に週刊誌などの記者が詰め掛けている事態に、心を痛めているという。

15日からは東京五輪の準備状況を話し合うIOCプロジェクトレビューが開催される。それに先立ち12日、理事と評議員で開かれる合同懇談会で組織委としての立場を明確に示したい考えだ。

これはIOCの「反省しろよ森喜朗、それでもやっぱり森喜朗」ということなんだろうが、一方で日本国民、海外の反発を考えると辞任を含めた処分をJOCに暗に求めているともいえる。
これを機に今まで何一つ自分の失言の責任を取らなかった森喜朗に言葉の重みを痛感してもらいたいものだと思う*1

*1:失言暴言といえば石原慎太郎を思い出すが、石原はかって — 石原慎太郎環境庁長官時代の1976年に水俣病患者が手渡した抗議文の字を見て「IQが低い」と言い土下座したが、それから23年後、都知事に就任直後、知的障碍者について「ああいう人ってのは人格あるのかね」とほざいたこともあって、この手の老人がいまさら反省しこれからの生きざまを変えるなんてことは一切期待していない