kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

同一労働同一賃金は賃下げ圧力になるのでは

昨日「改正派遣法案が衆議院を通過した。
元々は自民公明vs野党という構造で論戦が繰り広げられる予定だったものが、維新の党が派遣法案に加え「同一労働同一賃金法案」を成立させることを条件に採決がなされたのであった。

同法は

通訳など専門26業務派遣労働者はこれまで働く期間に制限がなかったが、改正案が成立すれば派遣期間は他の派遣労働者同様、一律最長3年になる。一方、3年を過ぎても企業は労組の意見を聞いて人を入れ替えれば、派遣労働者を使うことができるようになる。
http://mainichi.jp/area/news/20150619ddf041010018000c2.html

というもので、極めて企業にとって使いやすい*1制度にしようとするものだ。
「いや、そんなことはない。同一労働同一賃金法が成立すれば、派遣社員の賃金が正社員並みに引き上がるのだから、派遣されている間は生活が安定するのでその間にスキルを磨けばさらに高給がもらえる職場に派遣されるようになるではないか」という考え方もできるかもしれない。

そう考えているならそれは甘い。
むしろ現状の日本において同一労働同一賃金は賃下げ圧力になり得るのだ。

実際私の以前いた職場ではこういうことが現実に起きた。
社長が突然「皆さんのお仕事は他社ではアルバイトがやっているので、基本給をアルバイトのそれに下げます。後は、インセンティブでお支払いします。皆さんの会社への貢献度が給料にダイレクトに反映します。」
そして想像のとおり多くの従業員の給料は引き下げられた。
現在派遣労働者は正社員の6-7割程度の給料なのだという。「皆さんの業務は派遣さんがやっていることと同じなのだから」と正社員の給料が引き下げられ、その結果「正社員と派遣労働者の給料は同一になった」と強弁することは十分可能なのだ。

同一労働同一賃金という考え方は決しておかしくはない。
しかしこれが現実の問題として労働者の生活の安定をもたらすための土壌が日本には欠けている。例えば産業別組合を作り企業と対峙するようなことができなければならないのではないかと「同一労働同一賃金」で大変な目に遭った私は思うのである。

*1:ということは労働者にとって不利だと言うことだ