kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

勇気を持って認めるはずもなく

大阪市の民間校長については、その不祥事の多さからもはや人でも殺さない限り何がおきても驚かないし、呆れないという状態だったが、久しぶりに呆れた記事がこちら。
元民間人校長:「ホテルマネジャーはウソ」大阪市教委告訴 - 毎日新聞

(前略)
捜査関係者によると、元校長は採用前の昨年2月、高級ホテルでマネジャーとして約16年間働いたとする虚偽の職歴証明書を市教委に提出した疑いが持たれている。証明書にはホテルに実在する外国人幹部の偽のサインが書かれていた。

 元校長は別に提出した応募書類に架空の有限会社で代表を務めたという職歴も記載した。市教委は昨年4月に元校長を採用したが、元勤務先の裏付け調査をしていなかった。

 今年5月、市教委への匿名の情報提供で発覚した。小学校内のPTA会費約10万円を持ち出したことも分かり、市教委は今年7月、元校長を懲戒免職にした。元校長が体調不良を理由に経緯の説明を拒み続けたため、告訴に踏み切った。

最早、勇気を持って失敗を認めた方がいいと思うのだが、「謝ったら死ぬ病気」を抱えるあの市長がそんなことをするはずもない。
大阪に住んでいないのでわからないが、相変わらず夕方のニュースでは橋下の屁理屈を垂れ流しているんだろうか。同じ視聴するなら彼の屁理屈を予想しながら視聴するのもなにかの役に立つかもしれない。
ということでせっかくなので(?)予想される屁理屈を列記しておく。

  • 民間でもあり得ること

さすがにこれは酷すぎる言い訳なのでないかな。
大阪市教育委員会を擁護することになりかねない言い訳をするとは考えにくいし。

  • 大阪市の教員でもあったことで、殊更民間校長に発生する率が高いわけではない。

これは前回の不祥事で使った言い訳だけれども、流石に使うほどの厚顔ではないだろう。

  • 校長がやったことを見てほしい。学校という伏魔殿に風穴を開けたではないか

これは言いそうな気がする。
「いい話なら嘘でもいいじゃん」でおなじみの江戸しぐさが学校教育に使われるこのご時世。
また、当の市長も本業ではかなり無理な弁護をして、無理矢理和解に持ち込んだ実績の持ち主でもあるし。

  • 僕は方針を示しただけ。このような人物を採用した教育委員会側に問題がある。

これが本命かな。

失言王のコネタ

麻生太郎氏 御嶽山の被災者に対する「激励」発言が曲解されネットに拡散 - ライブドアニュース

30日放送の「ニュースウオッチ9」(NHK総合)に出演した麻生太郎副総理・財務大臣が、御嶽山の噴火による被害者について「激励申し上げる」などと発言したことが大きな話題になっている。

この日の番組にゲスト出演した麻生氏は、登山者12人の死亡が確認された御嶽山(長野・岐阜県)の噴火について発言した。

大越健介キャスターが「まずは御嶽山、大変な災害が起きてしまいましたね」と振ると、麻生氏は昭和54年(1979年)に御嶽山が噴火した時は死亡者が出なかったと指摘したうえで、「今回はやっぱり時間帯が違ったせいか非常に亡くなられた方やら心肺停止の方やら非常に多く出ておられますんで」とコメント。

さらに「亡くなられた方に本当にお悔やみ申し上げると同時に、皆さん方被害に遭われた方々に、本当に、まことに大変だったろうなと思って、心から、私どもとして…激励申し上げるっていうか、うん…」と言って、言葉に詰まった。

すると、大越キャスターは「そうですね、ま、われわれ自身もお見舞いの気持ちとお悔やみの気持ちを持って放送させていただいております」とフォローした。
(後略)


麻生太郎副総理 「激励申し上げます」 - YouTube
2ちゃんねる界隈では死者に対して「激励と言ったというデマが拡散されているキイキイ」と喧しい。
確かに動画を見る限りでは激励という言葉は被災者に対しての言葉だが、揚げ足をとれば
「亡くなった方は被害者じゃないの?」
ということで、議論は終了と言うことになるんだけれども、この動画を見て気がついたことが2つ。

  • 麻生太郎は「お見舞い」という言葉と「お悔やみ」という言葉の違いを知らない。
  • どうやら喋った後に間違えた*1ことに気がついた。

NHKのキャスターがいみじくもフォローしたとおりお見舞いの気持ちとお悔やみの気持ちで済ませることができるところを、亡くなった方には「お悔やみ」と使ってしまった。「お見舞い」はありきたりで使えない。何か気の利いた一言を言おうとしたところ思い浮かばず、ようやくひねり出した台詞が「激励」だったということではないか。
動画を見ると言葉と言葉に隙間があるが、言葉に詰まったというよりも何か気の利いた言葉を探しているようにも見える。

ところで「激励」って言葉の意味はなんだったっけ?
げきれい【激励】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

げき‐れい【激励】
[名](スル)はげまして、奮い立たせること。「選手団を―する」「叱咤―」

厳密に言えばこのような場所で使う言葉ではないようだ。
お付きの人はこいつがテレビに出演するときはきちんと質問内容のすりあわせをして、レクチャーしたほうがいいよ。
野放図にするから過去もこんなことばっかり言っている。

麻生太郎☆名言集☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆

・(終末期医療について)さっさと死ねるようにしてもらわないとか、考えないといけない。
・名古屋人というのは民度が低い。あんな市長(河村たかし)を選んじゃうんだから
・たらたら飲んで、食べて、何もしない人(=患者)の分の金(=医療費)を何で私が払うんだ。
・(北朝鮮がミサイルを撃ったことについて)金正日に感謝しないといけない
・東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった
地球温暖化を心配する人もいるが、温暖化したら北海道は暖かくなってお米がよくなる
・審議をしないとどうなるか。ドイツでは昔、ナチスに一度(政権を)やらせてみようという話になった
・金がないのに結婚はしない方がいい。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする
・ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね
・野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ

最後の件については

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

に詳しい。

とはいえ、あのスタジオの雰囲気はいいね。大晦日の日テレの番組を見ているようだった(笑)。

*1:日本語の使い方と言うよりもむしろ本人の「本意」(笑)の表現のしかた

NHKスペシャル「老人漂流社会 "老後破産"の現実」

NHKスペシャル|老人漂流社会"老後破産"の現実

高齢者人口が3000万を突破し、超高齢社会となった日本。とりわけ深刻なのが、600万人を超えようとする、独り暮らしの高齢者の問題だ。その半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかない。生活保護を受けているのは70万人ほど、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしている。年金が引き下げられ、医療や介護の負担が重くなる中、貯蓄もなくギリギリの暮らしを続けてきた高齢者が“破産”寸前の状況に追い込まれている。在宅医療や介護の現場では「年金が足りず医療や介護サービスを安心して受けられない」という訴えが相次いでいる。自治体のスタッフは、必要な治療や介護サービスを中断しないように、生活保護の申請手続きに追われている。
“老後破産”の厳しい現実を密着ルポで描くとともに、誰が、どういった枠組みで高齢者を支えていくべきか、専門家のインタビューを交えながら考える。

昨日放映のこちらの番組を興味深く見た。
番組内では3つのケースが紹介されるのだが、うち1番目と3番目のケースはほぼ国民年金((所謂「基礎年金部分」))は満額支給を受けているにもかかわらず憲法が保障する最低限度の生活生活ができないというもので、2番目は生涯国民年金のみ加入し、かつ、年金未納期間があるので満額支給すら受けることができないというものだった。

以下、感想を。

年金の2面性

年金には

  • 保険

の 2つの面がある。
年金を考えるときにどちらの立場で考えるかで大きく結論が変わるのが老齢(基礎)年金だ。
現行の保険制度は全国民共通の国民年金を基礎として、その上乗せ部分としてサラリーマンとその配偶者が加入する厚生年金保険や、公務員などが加入する共済年金、所謂1号被保険者が加入する国民年金基金となっている。
上乗せ部分は、あくまでも上乗せなので支給事由の発生原因がなんであれ保険事故が起きた場合、今まで支払った保険料に応じて支給されるものであるので、まさに「保険」の性格が全面にでている制度だと言える*1
一方、基礎年金部分については「基礎」ということなのであまねく支給事由の発生した国民には支給されるものであり、特に障害・死亡を原因とするものについては所定の保険料納付要件さえ満たせば*2満額の支給がされる。
つまりセーフティネットの面を重視していると言えるものだ。
死亡・障害は突然起こりうるもので、その備えをすると言っても難しいケースがあるからだ*3
その一方老齢基礎年金は「保険」の面を重視している。すなわち保険料の納付実績に応じて年間最大78万円程度の年金が支給される制度であり、厚生年金保険のそれに近いものといえるのが現行の制度だ。
たしかに「老齢」という保険事故は誰しも当然に起こりうることであり、その備えをしなかったことは自己責任と言えるのであろうが、後で述べるとおり年金制度の設計が現在の日本の家族制度と乖離してしまっていることもあり、「保険」の面だけを強調すると「セーフティネット」の面が意味をなさなくなってしまいかねない。一方「セーフティネット」の面を強調すると、現在の年金額ではいかにも足りない(満額でも約月6.5万円しか支給されない)ということになり、その増額分の負担が現役層に大きくのしかかるということになってしまう。

厚労省の考えるモデル家族

現在の年金制度の基になった旧国民年金制度は昭和36年4月に始まったものだが、これは、番組でも指摘があったことだが

  • 右肩上がりの経済
  • 3世代同居
  • (これは指摘されなかったが)超高齢者社会の早い到来はない

を前提に設計されたものだった。
つまり、年功序列で上がる給料で親と子どもの面倒を見た現役世代が、引退すると今度は子どもの世代が自分と孫の面倒を見る。子どもが引退すると今度は子どもの子どもの世代が・・・という扶養関係を前提に、孫の小遣いや3世代家庭の家計の足しにと支給するのが老齢年金であるということだ。
経済の成長は鈍化し、核家族化は進行した。高齢化社会が想像以上のスピードで到来した。
孫の小遣いや3世代家庭の家計の足しに支給される年金を家計のメインにして生活する人が増加するとは厚労省は思えなかったということだ*4

都会より地方の方が危機的状況といえる

番組で紹介された1と3のケースはいずれも都内で、1については区の行政の援助の元生活保護を受給できるようになり危機は脱した*5。また、3番目のケースも定期的に介護保険法による居宅サービスを受けており、そういう意味では行政とつながっている状態であった。これらはまだ、財政に余裕のある地方公共団体だからできたことだと思える。
第2の秋田県のケースでは月2.5万円の年金受給でありながらなんの公的支援も受けていないというものであったが、地方の高齢化の進行はすさまじいものであり、そのような高齢者を多く抱える地方公共団体は支援の手をさしのべるということはほぼ不可能な状態のように見えた。

高齢者医療費の負担をどうするか

番組内の3ケースともいずれも重大な持病を抱え、その医療費が家計に多大な負担をかけていた。
現在の後期高齢者医療制度においては、被保険者の自己負担割合は原則1割となってはいるが、定期的に通院を余儀なくされることが多い高齢者にとってはその自己負担であっても多大な負担になってしまうことは容易に予想される。
番組内では健康保険にある「特定疾病患者の負担軽減制度」のように、自己負担額が一定の金額を超えればそれ以上の負担を求めないような制度にするべきとの提案があった。
財源の問題がついて回るので実現は困難かと思うが、収入の割合に応じて負担の上限額を決めるのはいい方法だと思う(実際に健康保険では同様の制度があるし)。
後期高齢者になると病のリスクが高くなるのは若い頃の不摂生云々があったにしても当然起こりうる話であって、いわば衣食住にかかる経費と同様に考えるべきだ。

今の年金受給者を考えることは将来の自分を考えることだ

現行の年金制度が破綻状態にあるのかどうかということは論評できる立場にないが、少なくとも誰しもが起こりうる老齢については十分に考えた方がいい。
「ゆるい働き方」を選択し、「どうせ年金なんて俺たちはもらえないから」と保険料を払わない(というより払えないというべきか)のも人生だが、少なくとも「600万人を超えようとする、独り暮らしの高齢者の半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかない。」という事実は一度見ておいた方がいいだろう。

*1:もちろん国民年金に比べてという意味であって、障害・死亡を原因とする場合は別途調整が入るケースもある

*2:つまり保険料が未納であってもその程度がひどくなければよいということ

*3:若くして障害を抱えるケースを想起されたい

*4:ちなみに高齢者世帯所得の中で公的年金等が占める割合は70%前後

*5:年金受給者でも生活保護を受給することは可能であることは次のリンクを参照されたい。 「NHKスペシャル 老後破産」を防ぐためには…(藤田孝典) - 個人 - Yahoo!ニュース

結局悪用されるだけ。

ゆるい就職:若者が正社員で働くのは「負け」 慶大助教が提案 - 毎日新聞

 「今どき、若い世代が正社員で働くのって『負け』だと思うんです」。正社員で長時間労働に苦しむシステムエンジニアの男性(23)が発言すると、会場に集まった約60人の若者から賛意のどよめきが起こった。

 次々に発言が出る。「週休2日じゃ自分の好きなことなど何もできない。それで退職しました」「残業続きで生きるために働くのか、働くために生きるのか分からない」「会社説明会に行っても金もうけ以外に働く目標が見えない。意味があるのか」「起業をしたい。週5日、会社に合わせて働く気はない」。そのたび若者たちは深くうなずく。

 これ、「ゆるい就職」に関心を持つ若者たちが18日、東京都内で「週4日の休みをどう使うか」などを話し合ったワークショップの一場面だ。「ゆるい就職」は人材紹介会社「ビースタイル」(本社・東京都新宿区)の事業。週休4日、つまり週3日働いて月収15万円の仕事を紹介するという。派遣など非正規雇用。15万円は額面。手取りでは12万〜13万円か。週3日勤務は社会保険の適用外だ。

 企画した若新さんは「週5日勤務を『人生すべてを仕事に支配される働き方』『仕事のために人生があるわけじゃない』と感じる若者が増えています。大多数は違和感を抑え、安定にしがみつくが、そこから一歩を踏み出そうとする若者がここに集まった」と説明する。

 「ゆるい就職」のうたい文句は「週5日勤務の『あたりまえ』がバカらしい」。ウェブサイトには「正規雇用など安定した就職を希望している方は間違っても応募しないでください」の注意書きも。それでも9月上旬の説明会には、定員の4倍、360人が応募した。

 実際に説明会に足を運んだ約150人の内訳は、既卒が7割、現役学生が3割。男女比は7対3。学歴は比較的高く、いわゆる「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)以上」が35%を超えた。若新さんによると「3分の1が芝居や音楽などの趣味や芸能活動を続けたい人、3分の1が起業やプロジェクトをはじめる準備時間がほしい人、残り3分の1が『今後やりたいことを模索したい人』」。共通点は、勤務地や労働時間、職務に制限のない「正社員」という働き方への疑問だ。

(中略)
 
 一部で「ゆとり世代の新しい働き方」などと好意的に取り上げられる中、「『週休4日で15万円』は別に新しくない。どんなに言葉で飾っても内実はアルバイトやパートタイム労働と同じ。使い捨てられかねない」と指摘するのは、ブラック企業対策プロジェクトのメンバーでNPO法人POSSE事務局長、川村遼平さん。「かつての『フリーター』、最近の『ノマド』など、サラリーマン的働き方へのアンチテーゼはどの時代も若者を魅了する。しかし働き方の多様化を実現するには、非正規でも安定した暮らしができる社会制度が前提です。『ゆるい就職』では年齢が上がると、収入や社会保険などの面で生活に行き詰まり、ダブルジョブ、トリプルジョブを強いられる危険もあるのではないか」

 東レ経営研究所ダイバーシティワークライフバランス推進部長の宮原淳二さんは「主婦や高齢者、セカンドキャリアを考え始める55歳くらいの人にはこの選択肢は面白い」と評価しつつ「新卒などこれからキャリアを積む20代には、雑多な仕事をこなし実力をつける『雑巾掛け』が重要だ。それをはしょると30、40代の仕事に響く。また『週休4日』の仕事は転職時の職歴として評価されない可能性が高い。『週休4日』を短絡的に捉えず、自身のキャリアを見据えた選択が必要だろう」と助言する。

 ビースタイルの「ゆるい就職」プロジェクトリーダー、宇佐美啓さん(30)は「若者全員にこの働き方を押しつけるわけではない。選択肢を増やしたいだけ。安定を得る代わり単身赴任も長時間労働も受け入れ、家族を養うのが当然だった50、60代男性と今の若者とは見える光景が違う。ワーク・ライフ・バランスを大事にし、仕事以外にも充実感を得たいのが僕ら、そしてより若い世代」と説明する。

 採用に関心を寄せる企業はIT業界を中心に広告、印刷業界など約20社。社員約100人を抱えるIT企業「イノベーション」の富田直人社長は「景気が良くなり、中途採用で良い人材が採れない。チャレンジ精神のある優秀な人材が採れるなら、週休4日でも構わない」。しかし、ほしい人材は「新卒者と同等レベル、つまり一流大卒で高校で生徒会長をやるくらいリーダーシップがあり、コミュニケーション能力が高く、人当たりも良く、企業文化になじめる人」。結構ハードルは高い。

(後略) 

このプロジェクトの発案者の言い分は、あの竹中平蔵の迷言「みなさんには貧しくなる自由がある」*1を彷彿とさせるもので、「流石慶応大学の経済学部」と嫌味の一つも言いたくなるものだ。

毎日新聞は両論併記の形で紹介はしているがこの制度の問題点は

「『週休4日で15万円』は別に新しくない。どんなに言葉で飾っても内実はアルバイトやパートタイム労働と同じ。使い捨てられかねない」

の一言に尽きるだろう。

先日厚生労働省は短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大を公開*2したのだが、この拡大の肝は今までは社会保険適用外だった週30時間未満の労働者のうち

  • 週20時間以上
  • 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 勤務期間1年以上
  • 従業員501人以上の企業((現行の適用基準で適用となる被保険者の数で算定。))

に該当するものを被保険者とするもので、影響緩和措置はとられるものの大企業に負担を求める内容となっている。大企業にしてみれば人件費の更なる負担は避けたいところであり、厚生労働省が公開したとおりの運用になれば上記のような勤務形態のニーズが高まるであろうことは容易に予想が付く。
そう、新手のリストラ手法になる可能性が高く、期待されるような

週5日勤務を『人生すべてを仕事に支配される働き方』『仕事のために人生があるわけじゃない』と感じる若者が増えています。大多数は違和感を抑え、安定にしがみつくが、そこから一歩を踏み出そうとする若者

の為の正社員制度になり得ない可能性が高いと言うことだ。
思えば、自由な働き方で自己実現ということで拡大された派遣制度というのが元々あったはずであったがその肝心の派遣が派遣法改正の関係で派遣業者が激減しその結果派遣社員が減少してしまい派遣先企業が使いにくくなったのだけれど、その変形・補完としての制度ではないかとしか私には思えない。

毎日新聞の記事はいみじくもこう書いている。

ほしい人材は「新卒者と同等レベル、つまり一流大卒で高校で生徒会長をやるくらいリーダーシップがあり、コミュニケーション能力が高く、人当たりも良く、企業文化になじめる人」

これくらいのスペックでかつ、『人生すべてを仕事に支配される働き方』『仕事のために人生があるわけじゃない』と考えるならば、無理に正社員でなくても学生ベンチャーで起業した方がいいのではないかと思う。
「正社員」という響きに騙されてはいけないと、人生の先輩は思ったりする今日この頃なのだ。

世界標準で何かできる立場では無かったということだ。

FIFA 世界ランキング / サッカー - TSP SPORTS
日本      :46位
ギリシャ    :12位
コートジボワール:23位
コロンビア   :8位

なんだ今のところランキング通りの結果じゃん。
ギリシャに引き分けたのなんてむしろランキングを考えると善戦したとさえいえるよね。
誰だ?ギリシャには必ず勝てるなんて言ったのは(笑)

誰かが指摘していたが、いつから日本は傲慢になったんだろう。

南アフリカ大会のときは直前の壮行マッチやテストマッチでは同じくらいの実力もしくはそれ以上の国と試合を行い全敗したことから、前代表監督の岡田武史は当初の目論見を急遽「弱者のサッカー」に変更せざるを得なくなり*1、その結果、奇跡的とさえいえる本田等のデンマーク戦でのゴールラッシュを呼び込み、日本サッカー史上初のベスト16という素晴らしい結果を導き出したのだったが、その結果が日本代表というより日本サッカー協会を「我々は強国なのだから強国のやる最終調整を行わなければならない」と勘違いさせてしまい、格下とテストマッチ*2をするという「世界標準」の選択をしてしまったのでランキング通りの結果しか出せていないというのが現状なのではないか。
4年間の二日酔いが覚めてしまったようなものだな。そりゃ気分も悪いわ。

あたかも、日中戦争の初期に南京を攻略してしまったことが時の首相近衛公麿以下の眼を曇らせてしまい、トラウトマン工作を拒否したあげく破滅を導いてしまったのと同じようなもので、こりゃスポーツマンも歴史を学ばなければならないね。

残念だが、次のコロンビア戦に負け予選リーグを敗退しなければ今のサッカーは変わらないんじゃないかと悲観的になる今日この頃なのだ。

*1:結果の為には手段を選ばないという点では素晴らしい監督だったと思う。

*2:少ない試合数では、クラブでの出場機会の少なかった本田や香川の調子を戻すには足りなかったろう

サッカー日本代表と日本陸軍

現在ブラジルで開催中のワールドカップの件だが、日本代表が昨日ギリシャスコアレスドローで引き分けた。
私は、サッカーについては門外漢で技術的なことやら何やらを語るほどの能力はないが、昨日の試合を報じるネットの記事などを読むと、最後の最後にコートジボワール戦でも日本が行ったパワープレイという戦術が批判を浴びている。
「理に適わない攻め、謎だらけの采配」 10人のギリシャを攻略できなかった日本代表の落胆 | サッカーダイジェストWeb
まぁ、素人目に見ても普段やっていないことが本番で成功することは極めて希だろうし、一次予選ならともかくもそんな戦略を易々と通してしまうようなチームがワールドカップの本戦に出場するはずはあるわけがないことは明らかなので批判はやむを得ないように思える。むしろ「バンザイ突撃」と揶揄されても仕方がないのではないか。

「バンザイ突撃」?

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)

先日購入したこちらの本で引用する戦車部隊の記録に寄れば、この部隊の「バンザイ突撃」は

「期待していた撤退命令が来ない以上......このまま座して全滅を待つより、潔く総攻撃を敢行し、玉砕することによりサンマニュエル死守の任を完う」
(同書211頁)

するためにおこなわれたものであったとのことであり、全ての「バンザイ突撃」が軍上層部の方針でおこなわれたというものではなかったようだ。
また、同書は元大本営参謀陸軍中佐の原四郎の証言として

「ただ一度でいいから勝ちたかった。南九州の決戦、それも志布志湾の決戦で勝ちたかった、意地だった。そして陸軍最後の歴史を飾ろうと思った。政治は、本土決戦によって終戦に移行しようと考えていたかもしれませんが、私の考えは上陸する的の一波だけでもいいから破摧したかった」
(同書249-250頁)

と紹介している。

サッカー日本代表のザッケローニ監督がどのように考えたのかは私はわからない。
すべての作戦が全く功を奏さず時間だけが過ぎて追い詰められた上でのことだったのだろうか。
わからないが私にはザッケローニ監督のメンタリティが上記引用と通底するものがあるように見えてならない*1

*1:日本人に特有のメンタリティとは私は思っていない。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%AF%BA%E9%99%A2

無能な働き者だけにはなりたくない。

アイドルグループTOKIOの出演している「鉄腕DASH」の名物企画「DASH村」で農業指導をなされていた「明雄さん」こと三瓶明雄さんがお亡くなりになった。

故人のご冥福をお祈りする。

故人の病名が「急性骨髄性白血病」だったそうで、このような新聞記事の写真がtwitter経由で拡散され少し騒ぎになっている。
f:id:kodebuya1968:20140607074422j:plain
急性骨髄性白血病」という病名が福島第一原子力発電所の事故を想起させるからだろう。
でこれに乗っかって騒いでいるのがいろんな意味で悪名名高いこの御方*1
Twitter / onodekita: 「DASH村(ダッシュ村)」農業指導の三瓶明雄さんの死因は「 ...
で人の死に弔意すらあらわそうとしないその態度は
三瓶明雄さんの死をデマに利用しようとした下衆な輩たち」(http://togetter.com/li/677092)で思い切り批判されている。

この件で某所で知人と話をしたのだけれども、その方が言うには「この方の死因を福島県は公表しないし死因を検証しないで荼毘に付すのだろうから真実は隠ぺいされる」とのことだった。
いや、お気持ちはわかるんだけれども地元の有名人とはいえ一市民の死に逐一死因を検証できないだろうと思う。
そもそも高齢者の急性骨髄性白血病がそんなに特殊なのか?ということになると
急性骨髄性白血病-医療法人 原三信病院にあるように

日本における骨髄性白血病の発症頻度は、毎年10万人あたり男性 3.5人、女性 2.1人で、成人の骨髄性白血病の70%がAMLといわれています。年齢別にみると、21~69歳では10万人あたり0.6~6人ですが、70歳以上になると10~17人と発症頻度の増加を認めます。

白血病といえば、私の子どもの頃に知人が発病したりしたり、最近では職場の50代の人が発病したこともあり比較的若い人に罹る病気なのかと思っていたが*2、実際は高齢者に発病する病であるということで三瓶さんの場合も決して不思議ではないということだ。

ところで先に引用した「三瓶明雄さんの死をデマに利用しようとした下衆な輩たち」だが、「デマ」という言葉に過剰に反応しているし、件の友人と話したときのこの記事を引用したのだが、どうやらこの記事がいうところの「デマ」という言葉を誤解*3しているように見える。

つまりtogetterの記事の批判するデマとは「明雄さんの死は骨髄性白血病であったとしても、それが福島第一原発事故由来かどうかはわからないにもかかわらず、それを想起させるようなtweetはデマだ」ということなのだが、先の知人も含めた一部の人々は「明雄さんが骨髄性白血病で死んだことはデマではない」と言っており、話の方向性が違っているのだ。

件の知人との話に戻すと、その後別の方が
牛乳体調不良騒動は牛白血病が原因か!?福島原発事故後に増えた牛白血病!|黒猫を招き我れ此処より何処へ
という記事を関連する話として持ち出してきてきたこともあり少々閉口したこともあってこれ以上の話には参加する気になれなかった。

というのは引用されている記事にある「牛白血病」はウイルス由来の伝染症であるとの記事を掲載する一方で日刊ゲンダイ

千葉県内の小中学校で5月、給食の牛乳を飲んだ児童や生徒1700人余りが腹痛や下痢などを訴えた問題。牛乳はいずれも古谷乳業(千葉市)が同県内の工場で製造したもので、県の調査では農薬などの不審物は検出されていない。

 そんな中、ある「原因」がささやかれ始めた。牛の白血病である。

「牛白血病は、白血球の中のリンパ球の増加や悪性のリンパ肉腫がみられる伝染病です。血液や乳汁を介して感染し、食欲喪失や眼球突出、体表リンパ節の腫れなどを発症し、死に至ります。ワクチンや抗ウイルス剤はありません。98年に全国で100頭以下でしたが、12年には2090頭と報告されたのです」(農業ジャーナリスト)

 86年のチェルノブイリ原発事故の被災者を支援している「NPO法人チェルノブイリへのかけはし」の報告によると、〈チェルノブイリではたくさんの家畜たちも白血病になった〉とある。福島原発事故との因果関係は不明だが、不気味な話だ。

との記事を転載しているのだが、日刊ゲンダイは牛白血病がウイルス由来だということを知ってか知らずか*4チェルノブイリでの事象を引用することで一般人に恐怖を煽っている。

脱原発については賛成するのだが、このようなデマをばらまいたりデマに踊って見せたりすることは原発推進の格好の餌食になるとしか思えないし、ましてや人の死*5を利用する態度は脱原発でも原発推進でもない多数の人々にとってどのように思われるのかを考えてほしいものだとつくづく思う。

無能な働き者だけにはなりたくない。

*1:onodekita@onodekita

*2:ドラマの影響が大きいのもあるが

*3:onodekita@onodekitaについてはわざとそうしている節もあるが

*4:おそらく知って書いているのだとは思う。家畜に詳しくない私でさえぐぐったら一発でわかったような話ですから

*5:とある俳優がお亡くなりになったときに昨年福島を舞台にしたドラマに出演したことが原因だと言い放った輩もいた

3Kなんですってよ

すき家のゼンショーHD社長「3K仕事やりたがらない」:朝日新聞デジタル
について。

はてなブックマーク - すき家のゼンショーHD社長「3K仕事やりたがらない」:朝日新聞デジタル
でも書いたけれども、それ以外にもすき家って自動販売機で食券を売るわけでもないんだよね。*1
バイトの身の安全*2よりも、自動販売機設置のコストを重視したわけで、強盗云々もそうだけれども食い逃げも多いような気がしてならない。

こういった被害*3を被るのが現場のバイトであり、担当社員であり、その責任を現場に押しつけていることが今の惨状を招いているようにしか俺には思えない。

*1:吉野家もそうだけれどもあそこの防犯システムはすき家のそれとは比べものにならずそれがすき家の罹犯率(というのかどうか知らないけれど)と吉野家のそれとの大きな違いだと思う次第。

*2:もちろんそれもあるけれども、現金触った手で給仕するという問題もあったりする

*3:警察沙汰にさえしなければ社内でけりが付く

生き返らないように頭を潰しとけ

ある意味本気で驚いた記事。
橋下市長「PTAは学校運営に口は出せない。勘違いしている」 会見詳報(1/2ページ) - MSN産経west

--校内人事の問題を指摘した公募校長には校長としての資質に問題があるとPTAから批判が出ている

 PTAは学校運営に口は出せない。勘違いしている。意見を述べられるのは(市立学校活性化条例に基づき設置され、保護者らで構成する)学校協議会。ルールに基づいてやってもらわないと。校長の何が問題なのかを協議会のメンバーに見てもらった上で、教育委員会が判断すればいい。

そのPTAのおばちゃん(おじちゃんもいるけど)達が「ふわっとした民意」を作り、それを拡散していたと思うのだけれども...
もう、そんなのもいらないというより、「ふわっとした民意なんて馬鹿なんだからその集合体も馬鹿だろう」という本音が出たということなんだろう。

こいつはおそらく次の選挙でいったんはフェードアウトするのだろうけれども、ほとぼりが冷めれば復活するだろうし、復活したときは「あのとき俺に恥をかかせた奴は許さない」ということになると思う。
だから、こいつを失脚させるなら徹底的にしなければ後々大変なことになると思う。
要するに一次政権下でできなかったことをいまやろうとしている安倍晋三みたいなもんだ。
「あのとき俺を馬鹿にした連中め思い知れ!!」と思っているところがあるように見えるものね。



宇宙猿人ゴリなのだ ・サニーメイツ - YouTube

「腹は国家からの借り物」の思想

まぁ、結婚するかどうかなんて国家に決めてもらうべきことではないと思うが、男女の出会いの場を用意する環境を作るのは構わないとは思う。
安倍首相が「婚活」後押し、子づくりへの切り札に-初の予算措置で - Bloomberg

3月20日(ブルームバーグ):
高知県内のログハウス風のカフェ、田中英之さん(40)は勇気を振り絞って14歳下の瑛理さんに話し掛けた。テーブルにはコーヒーとケーキ。ピアニストがクラシック音楽を奏でる店内には田中さんを含む18人の独身男女が集っていた。

「結婚を諦めかけていた」と言う田中さんは、結婚に関心のある独身者の出会いのきっかけづくりをボランティアで支援する県の「婚活サポーター制度」を活用して2011年9月に開かれた「婚活パーティー」に参加。昨年6月、晴れて瑛理さんを花嫁として迎えた。

政府は2013年度補正予算に「地域における少子化対策の強化」と銘打って初めて「結婚」に向けた情報提供や相談体制などに30.1億円を投入した。日本の未婚化・晩婚化が進む中、出生率 を回復する切り札として「婚活」に焦点を当てた。予算額としては少額だが、所管する内閣府共生社会政策担当の年間予算約20億円を上回る規模だ。

生涯未婚率(10年)は男性が20.1%、女性が10.6%と増加傾向にある。一方で、平均初婚年齢が29-30歳に上がり、第1子の出産年齢は30.3歳と30歳の大台に乗った。高齢者1人の社会保障費を負担する現役世代の数は現行2.57人。50年代以降はほぼ1人で支えることになり、社会保障負担の増大は日本が抱える深刻な問題だ。

県を挙げて婚活を支援する高知県尾崎正直知事は「将来の若い現役世代がこの負担に耐えられるのか。結果として社会全体の活力が低下してしまうのではないかと非常に危惧している」と述べ、今が少子高齢化対策を本格化させる「ラストチャンス」と意気込む。

高知の経験

尾崎氏は全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーも務める。1990年から人口の自然減状態に陥っている高知県では、ピーク時2兆円あった商品販売額が97年から減少に転じ、07年には1兆6000億円と約2割も減少した。尾崎氏が少子化対策を強く訴える背景には地元経済の縮小という現実がある。

「高知の経験から、いずれ日本全体が同じような状態になるのではないか」。尾崎氏の危機感は強まる。13年の人口動態統計によると、出生数は約103万人と1899年以降最小となった。国立社会保障・人口問題研究所によると日本の人口は10年の約1億2800万人から60年には約8700万人とほぼ3分の2に縮小すると試算している。

厚生労働省社会保障給付費が12年度の109.5兆円(対GDP比22.8%)から25年度には148.9兆円(同24.4%)に急増すると試算する。中央大学山田昌弘教授は少子化が日本経済に与える影響について「大変深刻だ。社会保障は崩壊の危機にある」と指摘する。

今回の予算措置は単年度事業として計上されたが、永田町からは来年度以降も継続するよう求める声が早くも上がっている。自民党の「婚活・街コン推進議員連盟」の会長を務める小池百合子広報本部長は「少子化問題はすぐに改善するわけではない。良い実例ができた」と述べ、国からの継続的な支援に期待する。

婚活サミット

同議連は14日、「婚活・街コン推進サミット」を開き、少子化の政策コンセプトを「ゆりかごから墓場まで」を「出会いから墓場まで」に再定義すべきと主張。20年代に出生率の2.0以上、未婚率を現状の「2分の1以下」、婚姻件数を「2倍以上にする」との目標を掲げた。

13年の人口動態統計によると日本の合計特殊出生率は1.41(12年)にとどまり、フランスの1.99や米国の1.88を下回る。厚労省のリポートでは、婚外子の割合も2.2%と低く、フランスの56%や米国の41%と比較にならない。小池氏は「欧米ではシングルマザーや事実婚が話題になるが、日本の社会的規範からできにくい」と指摘。その上で、「少子化の最大の問題は結婚しないこと、できないことだ」とする。

政府は今回の施策で「地域少子化対策強化交付金」を地方自治体に交付する。交付上限は都道府県の4000万円、政令指定都市2000万円、その他の市町村に800万円と設定。飲食代や人件費などは対象外とし、各地方自治体から要望を募り、早ければ月内にも交付予定だ。

地方の危機感

高知県は結婚を総合的に支援する相談窓口の設置などを要望。7月にも立ち上げる方針だ。茨城県はお見合いから婚活パーティーまで結婚支援事業を幅広く展開している「いばらき出会いサポートセンター」の機能強化を目指している。06年に立ち上げたセンターには3000人以上が登録し、1144組が結婚に漕ぎ着けた実績を持つ。

茨城県少子化対策室の穂積直之室長補佐は「個人に任せておける状況ではない。もはや危機的だ。人口減少をいかに緩やかにしていくか考えなければ、地域経済がどんどん縮小していく」と指摘。センターを設立した背景には人口減少が進む地方都市の危機感がにじむ。

12年の人口推計によると東京都や埼玉県、千葉県の大都市圏でも自然増減率が初めて増加から減少に転じた。穂積氏は「少子化の解消には20年かかる。今すぐ効果が出るわけではない。出生率は若干持ち直してきているが、子供を生む女性の数が減っているため出生数は下がっている。このままいけば、取り返しがつかなくなる」と強調した。

新たな交付金ができるとのことで、新たな利権に群がる輩が出てくるのは間違いないとは思うが、この結果幸せなカップルが生まれるのであればそれはそれで意味があるのだろう。
ただし、これが小池百合子が言うところの少子化対策につながるかどうかは大いに疑問だ。

平成25年版厚生労働白書*1はこう指摘している。

理想の子ども数実現への課題 ~経済的な理由と年齢・身体的な理由~

(1)全体としては経済的な理由が最も多い
理想とする子どもの数を実現できない理由は何なのだろうか。
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によると、その理由として最も多いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」であり、6割以上がこの理由を選択している(図表2-3-14)。とりわけ、妻の年齢が30歳未満の若い世代では8割以上に上っている。
また、30歳未満では、それ以上の年代に比べて、「自分や夫婦の生活を大切にしたいから」との回答が多い傾向にある。一方、30歳代になると、「欲しいけれどもできない」「高年齢で生むのはいやだから」といった年齢・身体的理由の選択率が高くなっている。さらには、「これ以上育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから」という回答も比較的多くなっている。


(中略)


(3)1~2人目の壁は「年齢・身体的理由」、3人目の壁は「経済的理由」
次に、理想の子ども数別に、理想を実現できない理由を見てみると、理想子ども数を3人以上としている夫婦では、理想を実現できない理由として「お金がかかりすぎる」「家が狭い」といった経済的理由を挙げる割合が高い。一方、理想が2人以下の場合には、「高齢だから」「欲しいけれどもできないから」など、年齢・身体的理由が多く挙げられている。


子育て世代の収入の減少

理想の子ども数実現への課題として経済的な理由が大きいことを確認したが、子育て世
代の雇用者の所得はどうなっているのだろうか。
まず、若者の雇用形態の割合の変化を示したものが図表2-3-17である。年齢階級別に非正規雇用*10比率の時系列推移を見ると、どの年齢層においても上昇傾向が見られる。
特に若年層ほど大きく上昇して子育て世代の25~34歳層や35~44歳層においても、バブル崩壊後の1990年代半ばから2000年代の初めにかけて大きく上昇している。子育て世代の雇用者に占める非正規雇用の労働者の割合は大きくなっている。

結婚して「生めよ増やせよ」は結構だけれども、「生んだら生んだで自己責任」ですべてが収斂されかねないこの国では出産することが最早リスクなのだと思う。

そんな中こんな報道もあった。
「子供産むのは国家への貢献」 公明指摘で自民代表質問から削除 - MSN産経ニュース

「子供産むのは国家への貢献」 公明指摘で自民代表質問から削除
2014.3.13 00:42 [公明党

 自民党二之湯智参院議員が12日の参院本会議で、「子供を産み、立派に育てることが国家に対する最大の貢献」としていた代表質問の内容を公明党の指摘を受け、事前に削除・修正していたことが分かった。
 二之湯氏の代表質問原稿案は少子化問題について「結婚しているのに子供を持つことが社会人としての義務だと考えない人たちが増えている」とも指摘。二之湯氏の質問は公明党を含む与党としての代表質問だったため、公明党が11日に党の政策と相いれないとして修正を申し入れ、自民党が応じた。

 この結果、二之湯氏は12日の代表質問で「国家に対する貢献」の部分を削除。「子供を持つことが社会人としての義務」との表現は「子供を持つことを望まない人たちが増えている」と修正した原稿を読み上げた。

実際に代表質問から削除されたので大事にはならなかったようだが*2、「女性は産む機械」発言とどっこいどっこいの発言としか思えない私にしては、発言の反響の差に愕然とする思いだ。

この議員は「腹は国家からの借り物」という思想を持っているのだろう。
公明党の指摘を受けて修正したということはこの思想は少なくとも自民党の上層部では共通の認識としてあるといわれても仕方が無いだろう。

「腹は借り物」の思想について

日本が「神の国」だった時代―国民学校の教科書をよむ (岩波新書)

日本が「神の国」だった時代―国民学校の教科書をよむ (岩波新書)

から引用する。

文部省の意を体したオピニオン誌『国民学校』に、「婦徳の涵養」と題した一文が載っている。婦徳といっても「凡そ女性の特色は子を産むという事実」だけに視点をおいた論である。
「母はその所生の子を神の御子、すなわち天使様の御子としてお預かりし、これを導いて本具の神聖の展開に努めることになる。神の御子たるの自覚に於いて、神の御子たるその子を神へまで導き神に奉るの自覚と精進によって、彼女は真に賢母たり得るのである。」
筆者は宗教者でも伝道者でもない。栃木県女子師範で教鞭をとる教諭志賀匡である。一見たんなる自己陶酔としか思われない論文であるが、その文飾の裏から透けて見えるのは天皇家を頂点とする封建的家父長制度の中で定着してきた「腹は借り物」の思想であろう。しかし一九四〇年当時は、このような暴論が、新たに発足する国民学校女子教育の理念として、女子教育専門家の立場から建言され、従来の良妻賢母の枠を破った新しい賢母増として歓迎されていたのである。
(168頁 強調は引用者)

安倍晋三を代表とする「日本をトリモロス」ことを求める人々はどうやらこの時代の日本やクメールルージュのカンボジアを理想郷にしているようだが、国家から強制される出産のどこに夢や希望が生まれるというのか。
呆れるのを通り越して心底この国の将来が恐ろしくなってしまった。

*1:http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-3.pdf

*2:この件では自民党公明党に感謝するべきだと思う。逆に公明党は余計なことをしてくれた。