kodebuyaの日記

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いまさらながら気をつけたいこと

年末年始特に気をつけたいこと。
忘年会後の悲劇 労災認定、無情の線引き :日本経済新聞

本文は長いのでここでの引用は避けるが、この事件で問題になったのは「二次会以降の災害は労災認定されるのか?」だ。

そもそも労災認定されうるのか?

一次会の段階で罹災していれば労災認定されたと考える。
上記記事に寄れば

当日は午後から業界団体の会議があり、男性は会社の先輩と共に出席していた。会議が終わった午後5時半すぎ、あらかじめ打ち合わせていた有志8人が近くのそば店に集まり、忘年会が始まった。

まずは生ビールの中ジョッキで乾杯。その後は麦焼酎の一升瓶を1本頼み、それぞれが水やお湯で割った。男性は幹事役で、注文を取ったり酒をついだりと忙しく動き回った。

「来年は景気が上向くだろうか」「今年はこんな失敗をしてしまった」。同じ業界に身を置き、互いに取引もある者同士の話題は尽きない。男性は用意していたパンフレットをさりげなく取引先に渡し、新製品を売り込んだ。

とある。
確かに「有志の飲み会」ということで任意性が極めて高いものではあるが、記事にあるように「事前に忘年会の出席について上司の許可を得て、仮払金を受け取って」おり、かつ「用意していたパンフレットをさりげなく取引先に渡し、新製品を売り込んだ」というのであるから、会社の黙示の業務命令があったと言ってしかるべきだから、この時点で帰宅し、そこで罹災したということであれば通勤災害が認められることは間違いがない。なお、帰宅途中なので通勤災害なのであって、同人が幹事をしている宴会の席で怪我をしたということであれば通勤災害ではなく通常の労災が認められ得るといえる。
だからこのケースでは会社の承諾のない二次会後の罹災が労災(今回の事件では通勤災害)に該当するかが問題となる。

そもそも通勤災害とは

労働者災害補償保険法によれば、「通勤」とは
「通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を除くものとする。
1.住居と就業場所の往復
2.厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
3.1.に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)」*1
と定義されている。
ここで問題になるのは条文でいう「合理的な経路及び方法」である。
家を出れば真っ直ぐ会社に行き、会社を出れば真っ直ぐ家に帰れる。その途中で事故に遭えば通勤災害として労災認定されることに問題は無いとして、人間である以上生理的な欲求もあれば、赤信号待ちや開かずの踏切で足踏みをしたり、交通機関のストや事故による交通事情で迂回をやむなくされることもある。また就業時間中に行くことが出来なかった通院などやむを得ない事由で寄り道を余儀なくされることも当然にあり得る。このような場合においても通勤災害が認められないとなれば労働者にとってあまりに酷な結果になることから一定の寄り道・道草であっても労災適用される取扱になっている。

しかし一方で、必要な行為といってもフィットネスクラブに通う、帰りに待ち合わせしてデートをする等までも含むことは難しい。
なぜなら、厚生労働省令で定める要件は日用品の購入や公民権の行使、自身の治療、親族の介護といったような「日常生活上必要な行為と認められるもの」に限定されるからだ((同法施行規則8条))

それではこの二次会が「日常生活上必要な行為と認められるもの」と言えるのだろうか?

通勤とは残念ながら評価できない

結果として、判決は労災を認定しなかったのであるが私自身もこの結論はやむを得ないと思う。
一次会は会社の許可を得た上での出席なのだから、そういう意味では一次会の席は社内の延長ともいうことができる。しかし二次会は私的な飲食と言わざるを得ない。この記事では罹災労働者が独身であったか否かの情報はないが*2遺族の主張を見る限りでは独身者であったようで罹災労働者食事を取ったことを抗弁にしているが、仲間と一緒に盛り上がったとはいえ、ラーメン店で長時間滞在する時点で帰宅経路を逸脱していると評価されるのはやむをえないだろう。仕事の話しかしなかったとはいっても、サラリーマンの飲み会で仕事やその関連の話をしないことはまず考えられず、その点でも遺族の抗弁は弱いように思える。

それではどうするべきなのか

可能な限り二次会もあることを会社に事前に予告しその承諾を得るべきだろう。それが難しければ、一次会に決裁権限者を連れ出してその場で二次会に行くことの了解*3を得るのが良いかもしれない。

最後に

遺族側の主張によると、男性は忘年会の前日、取引先の現場で徹夜で働き、当日は始業前に会社の会議室で2時間半ほど仮眠を取っただけだった。出勤してきた同僚が帰宅を勧めたが「今日は忘年会があるから」と断ったという。

ということだ。社畜とまではいいたくないが熱心に仕事をしていたのだろうことは容易に想像が付く。死の直前まで仕事の話をしていたにもかかわらず(会社から遺族見舞金が出ているかどうかはわからないが)労災認定されなかったことを考えるとなんともたまらない気持ちになる。
ありきたりだが故人のご冥福をお祈りいたします。

*1:同法7条2項

*2:既婚者は特段の事情がない限り帰宅途中の外食は日常生活上やむを得ない行為とは認定されない。どんな冷めた家庭でも家で食事はするものだということらしい(笑)

*3:とはいっても二次会・三次会と盛り上がった場合どこまでを命令の範囲とするかはやはり問題にはなるが