kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

逃げろ逃げろ

所謂「ブラック企業」であるが、ブラックの定義としてはいろいろあると思う。
労働時間であるとか、低賃金であるとか。
その最たるものが「退職妨害」だと思う。
退職妨害はある意味*1労働基準法が「してはならない」と定義する「強制労働」に該当しかねない行為だからだ。
このことについては
bylines.news.yahoo.co.jp
が詳しいが、具体的にどうすれば良いのかを考えてみた。

  1. 会社に行って「願」を出さない

 会社に行って退職「願」を出すから、おかしな話になる。「願」いは叶わないことがあるからだ・
 言葉の問題で枝葉末節かもしれないが退職「届」を出すべきだ。
 労働基準法や労働契約法では事業主が労働者の解雇をする場合に制限をかけているが、労働者が退職をする場合にはなんの規制も設けていない。特別法に規定がなければ、私法の一般法たる民法の規定が適用される。
民法第627条によれば

1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができる*2。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2.期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3.六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない

とあり、殆どの労働者は同条1項に該当する以上、解約の申出(この場合は「退職届」)を事業主に到達させることでその翌日から2週間の経過で終了させることができるのである

  • 「願」を会社に行って直接手渡さない

 直接渡すから、脅されたり監禁されたり洗脳されたりということになる。全て郵便で処理すること。但し、郵便の出し方にコツがある。

  普通郵便だと「そもそもそんなものは届いていない」と主張される危険性が極めて高い。また、簡易書留や配達記録では到達日の確定はできるが中身の確定ができないというきらいがある。これでは「確かに郵便は届いたが、中身はなかった。封入せずに送ったのではないか」と事業主から主張されかねない。よって到達日の確定と封入文書の内容を証明できる「内容証明郵便」をお金はかかるが送るべきだ。

  • できれば1週間分、無理であれば3日分の食料などを買い込んでおく

  内容証明郵便が事業主に到達すると、事業主は離職希望労働者にいろんな手を使ってコンタクトすることが考えられる。
  電話、メール(パーソナルのアドレスを教えていた場合)、訪問といったやり方だ。
  2.26事件の青年将校と同じで彼等に「話せばわかる」は通用しない。全てのコンタクトを断ち切らなければ、逆に脅され説得され元に戻らされという最悪な事態になりかねないからだ。食料品を買い込むのは、事業主と話をしないと決断した場合に自分の居所に事業主等がきてしまうと外出が困難になるためそういう場合の不便を前もって避けるためだ。籠城すると決めれば相手方が諦めてしまうまで籠城しなければならない。
くどいようだが「事業主側の人間とのコンタクトは一切取らない。会社の友人だろうが恩人だろうが同じ事だ。」と人間関係をリセットするくらいの気持ちを持たなければならない。

  • 退去しない場合は警察を使うことを躊躇しない。

  確かに雇用契約のトラブルは民事の問題であり警察が介入できる話ではない。
しかしながら例えば自宅前に事業主側の人間が張り込んでいて、1週間以上外出ができないような事態が継続しているような場合や玄関前で騒いでいて近隣にご迷惑をおかけしつつあるといった場合には「不退去罪」として躊躇無く警察を呼ぶべきだ。警察としては玄関前で頑張っている連中に「とにかく一旦帰ってくれ」とお願いするはずであり、それに応じない場合は警察権を行使するということになるはずである。

  • 損害賠償請求は裁判所からの書類が届かなければ一切無視する

  事業主が退職について損害賠償請求をすることもあるが、内容証明程度であれば無視する。
  相手はあなたととにかくコンタクトしたいだけであって、コンタクトさえできればなんとかできると思っているから請求をしてくるに過ぎない。裁判所から訴状少額訴訟の特別送達が届けば対応をしなければならないが、そうでなければ一切無視する。

本来はきちんと会社に仁義を通し、引き継ぐものがあれば引き継ぐのが本来だとは思う。
しかしそんなことをしていると引き継ぎが完了しないといつまでも退職できないということになりかねず、そもそも引き継ぎは労働者の法的義務ではない。
確かに就業規則に引き継ぎの規定があるだろうが、それに逆らっても不利益はない。*3むしろそこまで追い込まれている状態であればお金より自分の体や精神を守るべきだ。
そうしなければ悲劇になる。

とにかくそのような事業所から逃げることを最優先に考えて欲しい。我慢してもなんの得にもなりはしない。

*1:というよりそう理解するしかかないが

*2:ただし完全月給制(欠勤控除がない場合)は別。この場合は退職の申し出は、次の賃金計算期 間以後に対して行うことができるとされている(民法第627条第2項)。その退職の申し出は、賃金計算期間の前半にしなければならないとされている。

*3:退職金が出ないという不利益はあるだろうけど

大企業だからだろう

this.kiji.is

東京メトロで勤務し、痴漢行為を理由に解雇された男性が、解雇の無効を求めた訴訟で、東京地裁は25日、「処分は重過ぎる」として無効と認める判決を言い渡した。

 石田明彦裁判官は、男性の勤務態度に問題がなかったことや、弁明の機会が十分に与えられなかったことを挙げ「懲戒権の乱用に当たる」と指摘した。

 判決によると、男性は2007年4月入社。13年12月、電車内で女性の体を触ったとして逮捕され、罰金刑が確定した。昨年4月、諭旨解雇の懲戒処分となった。

 東京メトロは「主張が認められず遺憾だ。判決内容を精査して対応を検討したい」とコメントした。

一見「なんじゃそりゃ?」と思えるような判決ではあるが、この判決自体はおかしなものではない。

  • 私生活上の非道行為が懲戒解雇の対象となるためには

本件は労働者がとりあえずこれ以上のトラブルを避けるために容疑を認めたという話もあり、事実そのような行為があったのかどうかの判断は保留するが、労働者の非道行為が懲戒解雇の対象となるためには

会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような労働者の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上の行為として行われたものであっても、会社の規制を及ぼしうる。従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したというためには、必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要とするものではないが、当該行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類・態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針及びその従業員の会社における地位・職種等諸般の事情から総合的に判断して、右行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない。
*1

とされている。本件の場合は地下鉄勤務の職員が「出勤前に」このような行為を犯しているわけであるけれども、この職員の地位(管理職以上の者であれば会社の被る不利益も大きいだろう)や職種(内勤の職員と現場勤務とでは意味合いが異なってくる)など総合的に勘案した結果として懲戒解雇が妥当((本件は諭旨解雇であるが、日本の労働法規に諭旨解雇の規定は存在せず、実際は懲戒解雇といえる。))であると判断されなければならないということになる。
本件の職員の会社における立場は上記記事からは不明であるが、例えば内勤者で平社員、かつ罰金(迷惑条例違反と思われる)で済んでいるということであれば確かに会社の体面は傷つくが、「悪影響が相当に重大」とまでは評価しにくいのでは無いかと思う。

  • 仮に上記を満たしたとしても企業側には更正させる責任がある。

労働契約法16条によれば

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

とある。「合理性」と「相当性」が解雇には必要とされる訳である。
合理性とは

a.傷病等による労働能力の喪失・低下
b.能力不足・適格性の欠如
c.非違行為
d.使用者の業績悪化等の経営上の理由(いわゆる整理解雇。)
e.ユニオンショップ協定に基づく解雇(但し一定の制限がある。)
(84)【解雇】解雇の社会的相当性|労働政策研究・研修機構(JILPT)

相当性とは

労務管理は負け裁判に学べ!なぜ負けたのか?どうすれば勝てたのか?

労務管理は負け裁判に学べ!なぜ負けたのか?どうすれば勝てたのか?

によると以下の様な場合は相当性が認められないとのことである。

a.使用者の従業員の行った違反に対する黙認、注意・指導・監督の欠如
b.適正な指示・命令の欠如、配転等による改善努力の欠如

ことほど左様に解雇は困難に「見える」ため、一部の経済学者やエコノミスト*2は、日本の企業の解雇の困難性が労働力の弾力性を損ねているというわけだが、これは一部正しく残りは大間違い。
「日本の」大企業は解雇が難しいというべきなのだ。

  • 中小企業の現実

解雇するスキル・・・なんかなくてもスパスパ解雇してますけど: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
によればまぁよくぞこんな理由思いつくなというような理由で解雇がなされている。

日本の雇用終了―労働局あっせん事例から (JILPT第2期プロジェクト研究シリーズ)

日本の雇用終了―労働局あっせん事例から (JILPT第2期プロジェクト研究シリーズ)

例えば

・10096(非女):「うちの事務所に合っていない」「解雇ですね」(10 万円で解決)
・10110(非女):カラーに合わないを理由に普通解雇(不参加)
・10136(試男):社風に合わないことを理由に普通解雇(不参加)
・20048(非女):店長から「俺的にだめだ」と普通解雇(15 万円で解決)
・20068(非女):社風に合わないから普通解雇(不参加)
・20104(正男):いったん内定したが営業向きでないと思い取り消し(25 万円で解決)
・30044(非男):挨拶しなかったため採用4 日後に「辞めて欲しい」(打ち切り)
・30083(正女):会社方針に合わないと普通解雇(不参加)
・30088(正男):会社方針に合わない(100 万円で解決)
・30247(正男):社長交代で普通解雇(不参加)
・30261(正男):廃業し息子が後継するにあたり、他は継続雇用するが、本人は雇用したくないと普通解雇(取下げ)
・30341(試女):「相性の問題ですね」と普通解雇(打ち切り)
・30555(正男):やる気なし、社長の意に沿わないとして普通解雇(打ち切り)
・30626(正女):再面接で社員としての適合性に欠けると判断して内定取消(不参加)
・30633(正男):有料紹介業者を通じて社風に合わないと解ったから内定取消(30 万円で解決)

・10071(正男):異動の送別会中に会社の鍵を忘れたことを思い出し依頼したら即刻解雇(不参加)
・30040(非女):「会社の恥、お詫びに死ね」と言われ、配置転換、雇止め(不参加)
・30311(試男):待機中過度に挨拶しすぎとして解雇(不参加)
(太字は引用者)

これ、労働あっせんに上がってきたものなので実際はさらに酷い理由で解雇されているであろうことは想像に難くない。
これがあっせんの場で終わってしまうのは何故か?中小企業でニュースバリューに欠けるからだ。
また、外資系企業であれば部門丸ごと潰してしまったりするが、「外資だから」という理由で社会的に問題にならない。

日本の中小企業は企業全体の97%を占めるのだという。
中小企業庁:FAQ「中小企業白書について」
ある意味日本は解雇天国であり、そこに入っていない大企業だからこその上記記事であり、中小企業に勤める私としてはむしろ羨ましくすら思える話でもある。

*1:日本鋼管事件 最二小判昭49.3.15 民集28-2-265

*2:パソ中平蔵や城ナンタラとか。むかつくので正式な名前は書かない(笑)

1年では短すぎる

東芝に限らず東証一部上場企業で大型リストラが起こった年だったが、その際のセーフティネットとして存在しているはずの雇用保険について思ったこと。
きっかけはこちらの記事。
リストラターゲットは50代。希望退職の先にある「絶望」(河合薫) - 個人 - Yahoo!ニュース

(前略)
早期退職。別名、希望退職。正確には、「希望なきリストラ」である。

むろん、“希望”という接頭語のついた退職のもと退職を余儀さくされたのは、東芝だけではない。
ソニー、モバイル分野で2015年度末までに2100人の人員削減
セガサミーホールディングス、300人の人員削減
日本コロムビア、リストラの一環で全従業員の約3割の人員整理を実施
カドカワ(旧KADOKAWA・DWANGO)、232人を削減
損保ジャパン日本興亜ホールディングス、200人の人員削減
ニッセンホールディングス、120人の人員削減を実施
日本たばこ産業JT)、1754人の人員削減
シャープ、3234人の人員削減
ルネサス エレクトロニクス、2300人の人員削減
ワールド、453人の人員削減
今年に入ってから9月末までで、これだけの“名の知れた”東証一部上場企業で、人員削減が実施されている。
ルネサスでは早期退職後、人材派遣会社に再就職した元社員を、派遣社員として再び雇用するという、わけのわからない事態も起きた。

特に

ルネサスでは早期退職後、人材派遣会社に再就職した元社員を、派遣社員として再び雇用するという、わけのわからない事態も起きた。

ということで、これが派遣法に抵触しないのかが気になるところではあるが*1、いずれにせよ企業の体力が戻りつつあるときに人員整理を行うのはここ20年以上常套手段として行われてきた。
そんな不測の事態による離職者にとってありがたい制度が雇用保険による失業等給付の制度である。
記事は続ける。

世界各国のGDP国内総生産)に占める労働市場政策への支出を比較した場合、日本は「就業支援・訓練」などの積極的措置、「失業保険」などの消極的措置のどちらにおいても使われているお金の割合が各国よりも低い。

また、失業保険の給付期間も、欧米と比較した場合、かなり短い。
フランスでの失業保険の給付期間は最長36カ月、デンマークは2年間と長く設定されているほか、ドイツの保険制度は12カ月の期間終了後、更新可能な扶助制度がある。スウェーデンでは300日(18歳未満の子供がいる場合はさらに150日)であるが、支給期間を満了した後にも失業状態の場合、新たに300日間の支給日数が起算される。
長くなればなるほど、「働いて半端なカネをもらうくらいなら、働かない方がいいや~」という精神状態に陥るリスクも高まるので、長きゃいいってもんでもないかもしれない。
それでも、やはり日本は短すぎる。もう少し長くてもいいのではないか。

さらに、日本の失業は「完全失業(full unemployment)」を前提としているが、多くの先進諸国では、「部分的失業」も失業保険の適用対象としているので、通常の労働時間がゼロになる場合のみでなく、労働時間の削減を部分的失業者として扱い、手当が給付されている国が少なくないのである。
非正規の賃金の見直し、失業の概念を変えるなど、やる気ある50代を後押しする支援策を講じないと、ますます“萎えたミドル”が増殖する。早期退職する前の一年間を、国の援助の下、新しい職種や業種に必要なスキル(技能)の習得期間と位置づけるなんてやり方だってあるのではないか。

ここで雇用保険の特色を書いておきたい。

  • 失業等給付の受給期間、給付日数の制限がある。

失業の原因がどうであれ、雇用保険は失業前2年間に12か月以上の被保険者期間があることを原則として1年間という支給期間を設定する。
その上で被保険者期間、年齢、属性(特に就職が困難な者であるかどうか)、失業原因に応じて支給日数が90日から330日の間で設定される。
この「給付日数」とは失業等給付の基本手当(昔でいうところの失業手当)の支給を受けることができる日数のことをいう。
例えば
離職時点で30歳の者で、3年間被保険者を継続していた場合90日分の基本手当を失業の認定時から1年以内に受給することができる。
離職時点で50歳の者で、20年間被保険者を継続していた場合330日分の基本手当を失業の認定時から1年以内に受給することができる。
ここでのポイントは、基本手当ての支給日数は長く被保険者であった者にとってそれなりに手厚くなるが、受給できる期間は被保険者の期間の長短にかかわらず同じであるということだ。

  • 早期就職へのインセンティブがある。

引用はしなかったが、所定給付日数を3分の1以上残して(給付日数が90日の場合30日分以内しか受給しなかった場合)1年を超えて引き続き雇用が確実と見込まれる職業に就き、又は自分で事業を開始した者については、支給残日数を買い取って受給者に支給するという制度(再就職手当)があり、この手当を受給した者で、新就職先の給与が基本給付を下回る場合には差額の一部を支給するという 「就業促進定着手当」もついてくる。
要するに「どんな就職先でもいいからさっさと就職してくれ。すぐに職が決まれば報奨金を出すよ、何?給料が低い??わかった差額を少し面倒見るから雇用保険を使わないでくれ」ということだ。そして1年以上就業できれば仮にその後また離職するようなことがあっても被保険者の都合や懲戒解雇ということでもなければ、また雇用保険から給付を受けることも可能になる。

  • 支給額にボーナスは考慮されない。

おおざっぱに言えば、給付額は離職前直近6か月の給料の総額を180日(時給の場合は実労働日数)で割り、その50%に支給日数をかけたものが支給額となるが、給料にはボーナスは含まれない。ただし、ボーナスからも保険料は控除される。そういう意味では「保険」の持つイメージとは異なるやり方を取っている。日本のサラリーマンの多くはボーナスも生活費と見込んで家計を組み立てているケースが多く、その場合には離職により想像以上の収入減という事態が待ち構えることになる。

最後の点も大概問題だとは思うが、特に問題なのは1番最初の点であると私は思う。
引用記事に登場する方は40代後半で会社から追い出されるという憂き目に遭っているが、確かに40代からの再就職は困難を極める。また、経験といっても日本の場合そのノウハウがその企業限定になっているという場合も多く汎用性に欠くということも珍しいことではない。
つまり「余人をもって替え難い」ものがなければ相当条件を下げなければ転職が困難になるということになりかねない。
もちろん「そのような実力を培えなかったのは自己責任」とバサーと切られるのだろうけれども、多くの人にとっては「余人をもって替え難」くない業務を担っているのであってそのような人が新たに職業訓練を行ってとなると支給期間が1年ではいかにも短い。なお、雇用保険支給期間が終了した後に職業訓練を受ける者については「求職者支援法:から職業訓練受講給付金の支給があり得るが、そもそも雇用保険の被保険者であったことが必要であり、また。万一職業訓練校に入学できなければ受給できないという点もあって決して満足できる内容であるとはいえない。
ちなみにこの1年という期間は障碍者等就職が特に難しい者であっても同様であり、この点でも問題があると言わざるを得ない。

確かに「就職への真摯な努力」を求める雇用保険では、失業状態を長期化させかねないインセンティブをつけることはできないのであろうが、就職を急ぐことを強要するあまりに、不本意な就職先ならまだしも所謂「ブラック企業」の就職をせざるを得ないことになるのではないかと思う。
社会保障セーフティネットといわれるが、殊雇用保険はネットというより上に跳ね上がる推進力をつけるトランポリンのようなものであるべきだと思う。最近の雇用の需給関係の好転によって雇用保険の財政には多少なりとも余裕があるとのことではあるが雇用の需給関係なんていつおかしくなっても不思議ではない。財政に余裕のある内に職業訓練の充実や制度の(良い意味での)見直しを求めたい。

*1:派遣法40条の9:派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

博打は自分の金でやれ

今更ではあるのだけれども、やはりこの記事をスルーするわけにはいかない。
年金積立金管理運用独立行政法人の大規模な運用損失を報じるロイターの記事だ。
headlines.yahoo.co.jp

[東京 30日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7―9月の運用損失が7兆8899億円だったと発表した。世界的な株安の影響で利回りは5.59%のマイナスとなり、安倍内閣が主導した昨年10月の運用改革後、初めての赤字に陥った。年金資産の積立金は135兆1087億円と、過去最大に膨らんだ6月末の141兆1209億円からおよそ6兆円減少した。

(中略)

資産ごとの運用損失は国内株式が4兆3154億円(利回りはマイナス12.78%)、外国株式が3兆6552億円(同10.97%)、外国債券が2408億円(同1.26%)と、運用見直しで比重を高めた3資産がいずれもマイナス運用だった。逆に、国内債券で3022億円(利回りは0.60%)を稼いだ。

年金特別会計で保有する短期資産について、厚生労働省は9月末の時点で4兆2000億円としており、GPIFは6月末から国内債券を6800億円程度減らす一方、国内株式を3700億円程度、外国債券を3500億円程度、外国株式を1兆6600億円程度買い増ししたもようだ。

9月末の年金積立金全体に占める保有資産割合は国内債券38.95%、国内株式21.35%、外国債券13.60%、外国株式21.64%となった。

運用の失敗で大規模な穴を開けたということだ。
とはいえ、

10月以降の運用損益はプラスに回復している公算が大きい。指標となる「ベンチマーク収益率」は今年4―10月の国内株式(TOPIX配当込み)が1.93%とプラスに転じたほか、マイナスに陥った外貨建て資産についても、足元で戻り歩調となっているためだ。

との見通しがある模様だが、実際にどうなるのかは第三四半期の運用報告を待つしか無い。
なんでこんな有様になったのか?といえば、

GPIFは、昨年10月末から国内外の株式運用を増やした。現在は国内債券35%(以前は60%)、国内株式25%(同12%)、外国債券15%(同11%)、外国株式25%(同12%)と

国内債券を中心としたこれまでの運用から株式に重点をシフトさせたことによることだ。
また債券についても毎日新聞の11月13日付の特集によれば
http://mainichi.jp/articles/20151113/dde/012/020/003000c

「ジャンク債」と呼ばれる海外の低格付け債での運用だ。格付け機関の評価で「ダブルB」以下のハイリスク・ハイリターンの国債社債のことで、財政不安が続くギリシャ国債もその一つ。先月から新たに購入することが決まった。

 GPIFはこう説明する。「リスクは高いのですが、なるべく安全な債券を慎重に選びます。購入額は外国債(構成比率15%)の中の5%程度。全体としては極めて低い割合です。万一、損が出ても、積立金全体では運用益が出るよう投資先を分散している。全体のリスクは変わりません」(GPIF担当者)

ということで、GPIF側は「安全」を強調するが*1かなりリスキーな運用をしている様に私には思える。

このようにGPIF側の運用方針が変容したのは政権による働きかけが大きいと先の毎日新聞の特集埼玉学園大の相沢教授(金融論)は次の通り指摘する。

相沢教授は「国内株の比率は、34%まで上げられることになっています。安倍内閣は株価連動内閣。今後の政治状況によっては、選挙前に株高を演出するため、株式を買い増しするよう圧力をかけるかもしれない。そうなれば積立金はさらにリスクにさらされる」と話す。

「株あがーれ」とテレビカメラの前で蕪を持ち上げた故小渕恵三元総理以降、歴代の内閣は経済政策の重点を株価対策に置いてきた。これは現政権も同じで、「三本の矢」とか「新三本の矢」とか言っているが株価を官製相場でもなんでも良いのでつり上げることで景気*2を回復することで「民主党政権時代とは違う」ところを見せつけて支持率を維持するという戦略を強く押し進めている以上、半官半民組織のGPIFに抵抗などできるはずもなかったということだ。

もちろん、年金の運用方法については様々な考え方があるだろう。現に確定拠出年金では掛金拠出者自らの判断で株式への投資にをメインとする運用も認められている*3。自己責任で老後の生活費を確保するという確定拠出年金ならではといえる。
しかしGPIFの運用原資は違う。
ある意味強制的に徴収される年金保険料の運用について我々被保険者が物申す手立てはないに等しく、あずかり知らぬところで大損を出しておきながら「高齢者等の生活の保障」といい保険料を上げたり、「子や孫の世代に負担を先送りしない」といい給付額を大幅に引き下げるというようなことがあれば、ただでさえなくなっている年金制度への信頼がますます失われてしまうのではないか。しかもそのようなことになった原因は株価を上げて政権の基盤を盤石なものにするというのだから開いた口がふさがらない。

確かに「運用は長期の視点で判断すべき」というのはそのとおりなのかもしれないが、大きく儲かるかもしれないが大きく損をするかもしれない投資の原資としては年金保険料はふさわしくないと言うべきだ。「長期的に儲かっているんだから大損出しても良いじゃないか」というような話では無いと思う。

私は日本で合法的にできるギャンブルは株だと思っている。
GPIFの職員の英知を絞ってポートフォリオを決定しているのだとは思うが、どこか「これだけの大金を運用している俺たちスゲー」と思っている節があるのではないか?と上記のGPIF側の説明を読んでいるとそのような疑念が頭をよぎるのであった。

いずれにせよ
「博打は自分の金でやれ」
といいたい。

*1:そりゃリスクが大幅に上がったけれどリターンもあるよとは口が裂けても言えないだろう

*2:実感するかどうかは関係ない。数字が上がればいい。なんといっても景気は「気」からだから。

*3:とはいえ確定拠出年金法23条及び同条を準用する73条によれば、「確定拠出年金運営管理機関は、政令で定めるところにより、次に掲げる運用の方法のうち政令で定めるものを企業型年金規約で定めるところに従って少なくとも3以上選定し、企業型年金加入者等に提示しなければならない。この場合において、その提示する運用の方法(第25条第2項及び第26条において『提示運用方法』という。)のうちいずれか1以上のものは、元本が確保される運用の方法として政令で定めるものでなければならない。」とされており、元本保証で運用することを選択することが可能にはなっている

おじいちゃまより大叔父様に似ている。

安倍晋三首相が国会をサボってテレビに出演した件であるが、どうやら橋下徹に会いにいったんではないかという話もあるが実際のところはよくわからない。
以下は安倍晋三応援団を自認(?)する産経新聞の記事www.sankei.com

安倍晋三首相は4日、大阪市を日帰りで訪問した。国会開会中の平日に首相が大阪入りするのは異例だが、首相には新党結成を目指す大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長との友好関係を強調する狙いがあった。自民党総裁選後の中長期の政権運営を見据えれば、政治思想が近い橋下氏の存在は欠かせないからだ。

 「維新の党は対案を出した。私は評価する」

 大阪市を訪れた首相は地元の読売テレビのワイドショーに生出演し、安全保障関連法案の対案を出した維新をこう持ち上げた。司会の宮根誠司氏が維新の分裂騒動を念頭に「何やってんねん、橋下徹みたいな感じだが」と指摘したが、首相は苦笑いしながら「議論を深めるには対案を出すことがとても大切だ」と橋下氏をかばった。

 首相の大阪滞在中、橋下氏ら大阪維新幹部との接触はなかった。だが、わざわざ大阪まで足を運べば、橋下氏との親密ぶりを強く印象づけられる。首相としては、会期末の内閣不信任案をめぐる対応で、新党参加の意向を示している維新の党議員を取り込み、野党の一致結束を崩したいところ。新党結成後も来夏の参院選やその後の憲法改正などの際に“親安倍”勢力として協力を得たい考えだ。

いずれにせよ国会の論戦の場で矢面に立たされるが嫌で、自分の主張を垂れ流してくれるテレビ出演(しかも大阪のテレビ局!!)を「野党分断」の大義名分で選んだようにしか見えない。

しかしこの首相はやることが偉大なるおじいちゃま岸信介ではなく大叔父様佐藤栄作のそれに近いなと思えてならない。
佐藤栄作 - Wikipedia

退陣表明記者会見
1972年6月17日の退陣表明記者会見の冒頭、佐藤は「テレビカメラはどこかね? テレビカメラ…。どこにNHKがいるとか、どこに何々いるとか、これをやっぱり言ってくれないかな。今日はそういう話だった。新聞記者の諸君とは話さないことにしてるんだ。違うんですよ、僕は国民に直接話したい。新聞になると文字になると(真意が)違うからね。残念ながら…、そこで新聞を、さっきもいったように偏向的な新聞は嫌いなんだ。大嫌いなんだ。直接国民に話したい。やり直そうよ。(記者は)帰って下さい」と発言。最初は冗談かと思った記者たちより笑い声もあったが、佐藤はそのまま総理室に引き上げてしまった。
内閣官房長官として同席していた竹下登の説得で再び会見室にもどり、何事も無かったよう佐藤は記者会見を始める。反発した新聞記者が「内閣記者会としてはさっきの発言、テレビと新聞を分ける考えは絶対許せない」と抗議したが、「それならば出てってください。構わないですよ。やりましょう」と応え、新聞記者達は「じゃあ出ましょうか! 出よう出よう!」と全員が退席してがらんとした会見場で、一人テレビカメラに向かって演説した。
なお竹下によると、佐藤はあらかじめ記者クラブの了解をとってテレビのみの会見を設定しようとして、秘書官を通じて記者クラブ幹部に話をつけていた。しかしそこで行き違いがあり、記者クラブ側としては、佐藤がテレビに向かって独演することは了承したが、記者が会見の席に出られないという意味では受け取っていなかったため、最後の見送りという意味も含めて陪席することとした。そのため当日の席でまず佐藤が話が違うといって怒り、それに対して見送りのつもりで来ていた記者らも腹を立てて退席することとなったという[24]。
その日の朝日新聞夕刊は、事の顛末を「…ガランとした首相官邸の会見室で、首相はモノいわぬ機械に向かって一人でしゃべっていた[25]」と突き放すように締めくくった。全国紙が時の首相を「一人でしゃべっていた」などと書くのは前代未聞の出来事だった[26]

まぁ、安倍晋三ノーベル平和賞なんてもらうことは万に一つもないだろうが、まかり間違って憲法9条が受賞なんて話になれば、オスロの授賞式に安倍晋三が登壇するという悲劇が起きかねない。
まぁそうなったとしても、オリンピック招致のプレゼンで福島第一原子力発電所を「アンダーコントロール」といい、国立競技場を「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が確証されたものとなります」とその場受けする発言をしても屁とも思わない我らが宰相は平気な顔して受賞スピーチをしかねないから恐ろしい。

安倍晋三の「謝罪を負わない」と本多勝一の「謝罪を負わない」

今更感満載の話だけれど、8月14日安倍晋三が放った談話はやはり言及せざるを得ない酷い談話だった。

安倍晋三のいわゆる「戦後70年談話」であるが、相変わらず日本の戦後復興は引き上げた兵士の御陰だとか、日露戦争はアジア解放戦争だったとか、先の大戦は欧米諸国への挑戦だった的な薄っぺらいネトウヨ史観*1いう私が最大限引っかかったのは「子や孫の世代に謝罪を背負わせるべきではない」という点だ。

子や孫の世代に謝罪を背負わせるべきではないなんて、随分前に本多勝一が「中国の旅」で語っている。
しかし、安倍晋三のそれは「だから、今後『南京大虐殺は幻』といおうが『従軍慰安婦なんかなかった』といおうが,なんの問題も無い。だってボクの美しい国表現の自由が認められているんだから」という方向性にあるのに対し、本多勝一のそれはその後「だけれども現在日本でおこっていることには責任がある」と続く。
以下http://www1.odn.ne.jp/kumasanhouse/movement/sinbun_yomitai/meigen.htmlから引用する。

南京大虐殺が行われていた当時、私はまだ幼児でした。おっしゃるように、 たしかに”一般人民”としての幼児の私には、この罪悪に対して直接の責任はありません。 本質的には、中国の民衆と同じく、日本の民衆も被害者だった。ですから私は、同じ 日本人の罪悪であっても、私自身が皆さんに謝罪しようとは思いません。問題は過去より現在 なのです。日本の一般人民は、日本敗戦後二十数年を過ぎた今なお、中国で日本人が何を したかという事実そのものを知らされていません。日本がまた侵略戦争への道を歩んでゆく 危険があるとき、それを私たちがもし何もしなしで傍観しているとしたら、こんどは 私たちに直接責任があることになるでしょう。過去の軍国主義を ”おわび” したところで、 何にもなりません。現在の軍国主義への危険を阻止することこそ、真の謝罪になるのです。 今度取材した日本軍のツメあとの報道は、このような意味で現在の軍国主義の進行を阻止する ための、ひとつの闘いになるものと信じます。」

安倍の言い方からは「じいちゃんやとうちゃんがさんざんあやまったんだからもういいよね。」ということしか感じられない。

*1:若しくは司馬遼史観というべきか

「替わりを連れてこい。だったら休ませてやる」は管理者の無能の証以外の何物でもない

使用者が労働者を解雇する場合は1か月以上前の解雇予告が必要であることはよく知られているが、労働者が退職する場合は退職の申し入れをした日から14日を経過するとその効力が生じる*1ということは周知されていなかったりする。
「え?うちの会社の就業規則だと1か月以上前に会社に申し出ることになってるけど?」
確かにそのような就業規則を設けている会社が殆どだと思うが、会社の解雇予告については労働基準法に定めがある一方で労働者側についてはどの法律をひっくり返してもそのような定めはない。
つまり法的な根拠のない紳士協定といって良い程度のものなのだ。
もちろん、「引き継ぎにもろくにしないで退職なんてされたら堪ったもんじゃない。辞めるなとはいわないがせめてそれくらいしっかりするのが社会人だろう」といわれれば、まぁそうだろうなぁとは思うが、一方で会社の一方的な意思表示である解雇の場合は30日以上前の解雇予告+自宅待機命令で引き継ぎをさせることなく退職させることもできるのだから、労働者側が退職する場合には引き継ぎを義務づけるというのも衡平を欠くようにも思える。

民法の規定は「当事者が」としかいっていないので、本来は使用者側も解雇の申出から2週間の経過で解雇の効力が生じるのだが、使用者側の申出は労働者に対する不意打ちとなり労働者を路頭に迷わせることになりかねない。また、使用者が解雇を労働者を支配する道具になりかねないおそれもあるため労基法で重大な修正が加えられている一方で、労働者側からの場合は労働者が次の行き先を決めている蓋然性が高く、労働者が路頭に迷うことも少ないことから民法の規定を修正していないということだ。
つまり、会社は突発的に労働者がいなくなること*2をある程度見込んで人事計画を作るべきだし、それも経営者の才覚なんだろうと思う。
そもそも辞めたがっている労働者を「規定だから」で縛り付けるのは考えようによっては憲法や労基法が禁じている「強制労働」と評価されかねないし、だからこそ労働者の退職については民法の規定する2週間の経過で効力を発することを労働法で修正しなかったのだろう。

何度も繰り返すが経営者は人事計画も重要な役割の一つでありそれを労働者に丸投げすることは役割の放棄だろうというしかない。

togetter.com
を読んだ。
確かに「急に休まれると迷惑だ」というのは十分に理解できるし「体調管理は自己責任」というのも現場の従業員が言っている分にはそのとおりだとも思わなくはないが「休むなら替わりを連れてこい」、「無責任だ」というのは、使用者*3の役割放棄と同じことだと私は思う。

ましてや、学生と知っていながら採用し、定期試験前に休ませず「仕事と試験とどっちが大事なんだ*4」などといいアルバイトに責任を擦りつけるような会社は、使用者に管理能力がないことの証だから早急に交代させるべきだと思う。

*1:民法627条

*2:労働者が交通事故で突然お亡くなりになることだってあるだろう

*3:ここでの使用者とは会社の経営層ではなく現場の統括管理者も含む、労基法上の定義のことだと考えていただきたい

*4:ブラックバイトに苦しむ若者たち。時給300円!? 「人間のクズ」と罵倒され… | 日刊SPA!

同一労働同一賃金は賃下げ圧力になるのでは

昨日「改正派遣法案が衆議院を通過した。
元々は自民公明vs野党という構造で論戦が繰り広げられる予定だったものが、維新の党が派遣法案に加え「同一労働同一賃金法案」を成立させることを条件に採決がなされたのであった。

同法は

通訳など専門26業務派遣労働者はこれまで働く期間に制限がなかったが、改正案が成立すれば派遣期間は他の派遣労働者同様、一律最長3年になる。一方、3年を過ぎても企業は労組の意見を聞いて人を入れ替えれば、派遣労働者を使うことができるようになる。
http://mainichi.jp/area/news/20150619ddf041010018000c2.html

というもので、極めて企業にとって使いやすい*1制度にしようとするものだ。
「いや、そんなことはない。同一労働同一賃金法が成立すれば、派遣社員の賃金が正社員並みに引き上がるのだから、派遣されている間は生活が安定するのでその間にスキルを磨けばさらに高給がもらえる職場に派遣されるようになるではないか」という考え方もできるかもしれない。

そう考えているならそれは甘い。
むしろ現状の日本において同一労働同一賃金は賃下げ圧力になり得るのだ。

実際私の以前いた職場ではこういうことが現実に起きた。
社長が突然「皆さんのお仕事は他社ではアルバイトがやっているので、基本給をアルバイトのそれに下げます。後は、インセンティブでお支払いします。皆さんの会社への貢献度が給料にダイレクトに反映します。」
そして想像のとおり多くの従業員の給料は引き下げられた。
現在派遣労働者は正社員の6-7割程度の給料なのだという。「皆さんの業務は派遣さんがやっていることと同じなのだから」と正社員の給料が引き下げられ、その結果「正社員と派遣労働者の給料は同一になった」と強弁することは十分可能なのだ。

同一労働同一賃金という考え方は決しておかしくはない。
しかしこれが現実の問題として労働者の生活の安定をもたらすための土壌が日本には欠けている。例えば産業別組合を作り企業と対峙するようなことができなければならないのではないかと「同一労働同一賃金」で大変な目に遭った私は思うのである。

*1:ということは労働者にとって不利だと言うことだ

即辞任じゃないのか

時間がないので簡単に。
橋下徹一派がもくろんだ大阪市解体*1だが、僅差とはいえ否決された。
「よくわからないことには賛成しない」という判断を下された大阪市民の皆様には敬意を表すものである。
その結果を受け橋下徹は選挙期間中に公言していた「政界引退」を改めて口にし、その余波を受け「維新の怪」の共同代表の江田憲司も代表を辞任する羽目に陥ったようだ。
橋下市長が会見 政界引退の意向表明 NHKニュース

大阪維新の会の代表を務める大阪市の橋下市長は、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票で反対多数となったことを受けて、17日夜、記者会見し、「市長の任期まではやるが、それ以降は政治家はやらない」と述べ、年内に予定されている次の市長選挙には立候補せず、政界を引退する意向を表明しました。
大阪維新の会の代表を務める大阪市の橋下市長は、17日に投票が行われた、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票で、反対多数となったことを受けて、幹事長を務める大阪府の松井知事と共に記者会見しました。
この中で、橋下市長は、今回の住民投票の結果について、「私が提案した大阪都構想は、市民に受け入れられなかったということで、間違っていたということになるのだろう。僕自身に対する批判もあるだろうし、都構想についてしっかり説明できていなかった僕自身の説明不足だと思う」と述べました。
そのうえで、橋下市長は「市長の任期まではやるが、それ以降は政治家はやらない」と述べ、今の市長としての任期は全うするものの、年内に予定されている次の市長選挙には立候補せず、政界を引退する意向を表明しました。橋下市長は、これまで、今回の住民投票で反対多数となった場合には、「政治家をやめる」と発言していました。

なんだ即辞任じゃないのか。
半年以上居座ることで「賛成を投じてくれた住民の民意が」とかなんとかいって前言撤回する可能性ものこされているのでまだまだ注視する必要があるだろう。
「恨」の政治家橋下を生き延びさせるようなことがあれば、どんなことをしてくるか考えただけでも恐ろしいからだ。


もし前言撤回したら代表を辞任する江田憲司はいい面の皮だと思う今日この頃だ。

*1:いまだに「と構想」といっているマスコミがあるが今回の住民選挙は大阪市を解体することの是非を問うただけだ

どちらにとっても大きなお世話な話だ(追記あり)

赤ちゃんザルに「シャーロット」命名も抗議で取り消しを検討 (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

野生のニホンザルの餌付けで知られる大分市高崎山自然動物園が6日、生まれたばかりの雌の赤ちゃんザルを、英国で誕生した王女にちなみ「シャーロット」と名付けたと公表した。だが、その後、園に「サルに王女の名前を付けるとは英国に失礼だ」などと抗議が殺到したため、取り消しを検討する事態となった。

 園によると6日朝、母ザルにしがみつく元気な姿を職員が見つけ、今年最初の赤ちゃんと認定した。園は毎年、第1号の赤ちゃんに最近の出来事にちなんだ名前を付けており、3月27日から園内に投票箱を設置して公募していた。

 公募から、テニスの錦織圭にちなんだ「ケイ」などが候補に挙がった。しかし、日本時間4日夜、英王女の名前が「シャーロット」と発表されると、一気に同名が投票された。ネット投票を含めて総数は853通で、シャーロットは合計59票で最多となった。

 6日、名付けられたばかりの「シャーロット」も園で元気な姿を見せた。職員は「かわいい姿に大勢のお客さんが喜んでくれた」と話していた。

まぁ、こんなことで講義する輩は「ケイ」とつけても「世界で活躍する日本人の名前をサルにつけるとは何事だ」と、誰が頼んだわけでもないのに憤るんだろう。

英国王室はnews.yahoo.co.jp

「名前のつけ方は自由」とコメントした。

とのことだが、当然だろう。
どこかの国の動物園で生まれた赤ちゃんの名前が日本のやんごとなき一族縁の名前をつけたからといっていちいち怒ってけつの穴の小ささをアピールしてもしょうがないだろうしね。

しかし、これで名前を変えなくて良かった。
これなんか絶対アウトだろ(笑)。youtu.be

(追記)
名前が無事決まったようだ。
「シャーロット」変更せず 子ザル名付け騒動に終止符 高崎山自然動物園 [大分県] - 西日本新聞

8日に記者会見した大分市商工農政部の吉田茂樹部長は「多数の人がお祝いの意味を込めて付けた名前で、英国側から特段の指摘もないことから総合的に判断した」と述べ、名前を変えない方針を明らかにした。市によると、8日午後5時現在、市や園に対し、「シャーロット」の名前に否定的な意見が969件寄せられ、肯定的な意見が600件に上った。
 赤ちゃんザルは同日朝、母親に抱かれて姿を見せ、乳を飲んだという。来園した北九州市門司区の女性(28)は「おめでたくてよい名前だと思う。王女が大きくなって園に来てくれたらすてきですね」と話した。