ギリシャのことを笑えない
ギリシャの経済危機は、新政権の発足が現実のものになりつつあることもあって新たな展開を迎えているようだ。
そんな中こんな記事
お知らせ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
【アテネ=三好範英、末続哲也】政治的混乱の続くギリシャで6日、財政再建に向けた新政権の発足が確実となったことで、ギリシャの財政破綻は当面回避される見通しとなった。
しかし、財政再建の決め手となる税制には不備が目立ち、脱税の悪習にも改善の兆しは見られない。国に見切りを付け、青年層を中心に多くの人々が出国している。
アテネ中心部の企業団体幹部の自宅居間の床は、ピカピカに磨かれた大理石が敷き詰められ、棚には40種類の高級酒がずらりと並んでいた。裕福な家庭はプール付きの家や高級車などを持ち、優雅な生活を楽しんでいる。「しかも、税金はほとんど払っていない」と専門家たちは指摘する。
独ウェルト紙によると、財務省の脱税摘発部署が、高級住宅地で有名なアテネ近郊のエカリ地区で、高所得を示すものとして自宅プールの有無を申告するよう求めたところ、324件の申告があった。航空写真で確認したところ50倍以上の約1万7000のプールが確認できたという。
国家が捕捉できない脱税、汚職などの闇経済は、ギリシャの国内総生産(GDP)の3割以上を占めるといわれる。脱税が横行する背景について、アテネの会計士バゲリス・アベリョティスさん(55)は、「課税関連法規が無数にあり、手続きが複雑な上、数年ごとに改定される。このため合法的に脱税できる抜け道が多い。徴税作業も専ら手作業に頼るため作業が追いつかない」と構造的な問題を指摘する。
(2011年11月7日20時57分 読売新聞)
さすがに「国家が捕捉できない脱税、汚職などの闇経済は、ギリシャの国内総生産(GDP)の3割以上を占めるといわれる。」事態は大問題だ。
捕捉率を高め、安定した税収入を確保できなければ当面の危機を脱することができても同じようなことはまた起こるだろう。
しかしこれはギリシャだけの問題なんだろうか?
日本だって、何年にもわたる高額所得者優遇の税制を続けてきた。投資を呼び込むためとして証券優遇税率を行ってきている。つまり本来であれば負担しなくてはいけないものを国家公認の元免除されている状態だ。
ギリシャは「一応は」国家が承認していない闇経済。日本は国家が承認している。
この点においては両国に何の違いもないのではないかと私は思う。
さらに問題は、ギリシャの富豪たちがせめて積極的にギリシャ国内でお金を落としていれば(あまりこういう言い方はしたくないけれど)トリクルダウン効果が国内に影響していた可能性はあるが、どうもそこまではしていなかったのではないかと思われることだ。
富豪が強欲だったために、結果として自分の国を危機に陥れてしまったのだとすれば?
笑うに笑えない事態だと思う。