kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

競争!!競争!!

2月9日朝日新聞による橋下徹のインタビューが公開された。
珍しくネットに公開されていたが、新聞の常としてすぐその手の記事は削除されるのだが、現時点でまだ削除されていない。
朝日新聞デジタル:〈橋下徹・大阪市長に聞く〉選挙、ある種の白紙委任
中身についてはいろいろなブログで批評されているし、有名ブロガー諸賢に加えることもないのだけれども突っ込みだけ入れておく。
橋下は言う。

 「東アジア、東南アジアの若者は日本の若者と同じような教育レベル、労働力になってきました。そのような状況で、日本人がラグジュアリーな生活を享受しようとするなら『国民総努力』が必要です。競争で勝たないと無理です」

高度成長しつつある国々となんの「競争」をせよというのか?
人件費削減競争なんだろうか?

 「僕が一番重視しているのは、行政サービスをユーザーの選択にさらすことです。医療も教育も介護もニーズに合っているものは付加価値が高い。行政が一方的に供給するものはあまり価値がない」

行政サービスを市場原理にさらせということなんだろう。
ユーザーの選択にと橋下は言うが、そうなると市場原理で補えないことを行政がやるというのが本来の形だということは

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にも書いていることで、行政サービスの基本だと思うのだが。

 「付加価値の創出は、努力がすべてだと僕は思っています。とことん能力を発揮してもらう。そこには規制はかぶせない。いったんは格差が生じるかもしれません。でも、所得の再分配もしっかりやります。また、格差を世代間で固定させないため、最高の教育をタダで子どもたちに受けさせる。最低限の保障をすることは国の役目です。僕のやり方は事後調整型の格差是正です」

「最高」の教育をタダで受けさせると言っている人間がなぜ、一度は私学助成金をカットしようとして、抗議をした高校生に向かって「私学はあなたが選んだ」「日本は自己責任が原則」と厳しい態度を貫いた。橋下知事は冒頭から「僕も反論します」と本気モード。私立大阪高校(大阪市)に通う母子家庭の男子生徒が、中学でいじめにあったため、学力的に公立に行けなかった事情を説明すると「いいものを選べば、いい値段がかかる。条件を比較して、あなたが選んだのでは」とやり返したのか*1

それから、

――70歳や80歳になっても、努力しなければならないのですか。

 「何歳で努力から解放されるかは制度設計次第で、役人にはじいてもらわないと具体的には言えません。常識的には60歳あたりでしょう」

 ――ちょっと逃げてません?

 「それは役人が担当する領域です」

というのは逃げですから、残念!!

「弁護士は委任契約書に書いてあることだけしかやってはいけないけれど、政治家はそうじゃない。すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理です。あんなに政策を具体的に並べて政治家の裁量の範囲を狭くしたら、政治なんかできないですよ。選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」

については、呆れるばかりで言葉も出ない。
橋下の考える民主主義は学級会のようなものなんだね。
少数者は多数者に負けたのだから、多数者の言いなりになるのが正しいっていうことなんだね(呆)。
話は脱線するけど、民主党が政権を奪取できるとなったときに民主党支持者が社民党国民新党も少数なんだから民主党の言うことを聞くのが当然だといっていたこともあった。
民主党支持者が橋下支持者になる心理が分かるような気がする。

橋下はこう恫喝する。

――橋下さんは強い人ですが、世の中は強い人ばかりではない。そういう人にはどう言葉をかけますか。

 「では、日本の生活のレベルを落としますか、東南アジアレベルにしますか、と。今の日本を維持しようと思えば、そりゃ努力をしないといけないですよ」

この後いろいろ続くのだけれども省略。
雇用にせよ社会保障にせよ、この人物は市場原理の勝ち負けでしか話をしていないので。
この記事には言及はないけれど、大阪市の「教育改革」なるものも学校間に市場原理を持ち込み競争させるというもの。

結局のところこの人間の思考は勝つか負けるか、勝ったら総取り、負けたらすっからかん、というだけなんだね。
指導者が「負ければ大変な目に遭う。それが嫌なら戦え」と恫喝して破滅の道を進んでいったいうのが数十年前にまさに日本が体験したことではなかったのか。

本来市場原理の外にいるはずの子供やリタイヤしたはずの老齢者を市場原理にさらさないというのが資本主義の進展した先ではなかったのか。

だいたい市場原理が全てを解決しているのなら原始資本主義だった数百年前はこの世のパラダイスだったはずではないか。なぜそうならなかったのか?
あほらしい。

こんなに底が浅い人間になぜマスコミや既存の政党がなびいてしまうんだろう。

*1:http://d.hatena.ne.jp/dj19/20081024/p1