連合さん大いに変よ
所謂ホワイトカラーエグゼンプション法案*1は、安倍政権下で2年前に提出されていたが、労働者側の反発が大きくまた本質的には経済に興味がない現政権下では棚晒しとなっていたのだが、水面下では動いていたらしく連合が修正案を出してきた。
これによって、秋に開かれる*2 臨時国会ではまたぞろこの法案の審議が始まりそうである。
今回は労働者の代表である連合が修正を求め、政府はそれに応じるということだから「連合お墨付き」法案であり、この法案の成立は確実に成る危険性が極めて高いといえるだろう。
連合の修正とはどういうものか
これは
www.asahi.com
にある図表に詳しい。
政府法案としては「働き過ぎ防止」のために
・年104日以上の休日取得
・労働時間の上限設定
・勤務間インターバル制度
の「いずれか」を選択するとあったのだが、
これを
・年104日以上の休日取得を義務として
その上で
・労働時間の上限設定
・勤務間インターバル制度
・2週間連続の休日取得
・心身の状況に応じた臨時の健康診断
のいずれかを複数選択するとしている。
新たな電通事件を作りたいのか
以前も書いたことだが、この法案の本丸は裁量労働制の適用対象者の拡大にあると思っており、この内容では裁量労働制の改悪により新たな電通事件が起きるのではないかというのが正直な感想だ。
連合は条件を加算したというのだがあまりにも弱すぎるのだ。・
年104日以上の休日というのは、週休2日制を言い替えたに過ぎず、仮にそうであれば年末年始・国民の祝日・夏期休暇など一切認めないとすることができる。
また、連合の言う選択についてだが、健康診断であるがあくまでも「心身の状況に応じた」とあり、労働者の希望に応じる義務を企業側に課すのだろうが実際に労働者がその権利を行使できるかと言うことについては健康診断の受診率は小規模事業所で8割を切っている状態であり*3をみると企業に課せられた義務の健診ですらこうなのだから、任意の健診を受診するとなるとさらに受診率が低下するのは間違いない。
問題は勤務時間・休息時間の確保なのであって、
・労働時間の上限設定
・勤務間インターバル制度
・2週間連続の休日取得
を2つ選択として、健診は外さなければ勤務時間改善には繋がらないだろう*4。
実際、勤務時間の上限といえば36協定を思い浮かべるがあれも労使の協定で青天井にできることを考えると、選択方法によっては「定額働かせホーダイ」にお墨付きを与える制度にできるのだ。
現在は人手不足でありそのような制度を持つ企業に入社するかどうかは疑問ではあるが、入社時から裁量労働制社員として働かせるのではなく、半年・1年経過後に裁量労働制を採用するというやりかたができる以上、この条件下で裁量労働制の適用を拡大することは極めて問題があるといわざるを得ない。
「連合さん大いに変よ」と言わざるを得ない。