kodebuyaの日記

労働問題が最近多くなった食レポブログです。

「わたくしの言論の自由は最大限保障されるべきです!!」by櫻井よしこ

お前は何を言っているんだ。
【慰安婦をめぐる損賠訴訟】櫻井よしこ氏会見詳報(1)「法廷闘争は言論の自由から考えて非常におかしい」(1/4ページ) - 産経ニュース

言論人として堂々と例えば雑誌「WiLL」が紙面を提供しますというので申し込んだにもかかわらず、それには全く応じていませんし、いろいろな形で討論するのは可能だったと思いますけれども、このような法廷闘争に持ち込んだことは言論の自由ということから考えて非常におかしいと意見陳述の中で植村さんに問題提起しました。

そもそもこの訴訟は櫻井よしこ及び産経新聞がおこした名誉毀損裁判なのであって言論の自由の問題ではない。
言論人であろうが誰であろうが人様を理由も何もなく貶していいなんて自由は存在しない。
「文句があるならWillという自分のフィールドに来い」というのがまずもっておかしく、それをいうなら「〇〇という中立の場を用意したのでそこで反論なり公開討論をしよう」というのが「言論人」の在り方*1とは思うし、そんな態度だからこそ訴えられたんだろうとしか思えないが、百歩譲って櫻井の主張が言論人の態度として尤もだとしても自民党改憲草案を支持する櫻井よしこが「言論の自由」と声高に言うのは噴飯ものの一言に尽きる。
自民党改憲草案はこういう。

第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
保障する。


前項の規定にかかわらず、
公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、
並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。


検閲は、してはならない。
通信の秘密は、侵してはならない。
(強調は引用者)*2

現行憲法にはない2項が新設されている。
これについて自民党の説明は以下の通り。

オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを踏まえ、公益や公の秩序を害する活動に対しては、表現の自由や結社の自由を認めないこととしました。内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然です。なお、「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定しており、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではありません。
(強調は引用者)*3

オウム真理教に対して破防法が適用できなかったからというのも酷いが、「社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然です」と言い放つのがそれ以上に酷い。
確かに、「言論の自由」を笠に着て例えば人様の殺害予告をするというのは問題があるかもしれないが、それは刑法の脅迫罪や各地方自治体が制定する「迷惑防止条例」で処理すれば足りるのであって、制限条項を殊更憲法に記載する必要があるのか。
それにそもそも憲法が「権力を縛る」ものであることは近代的な意味での憲法としては当然のことであるから、その意味において「権力が下々の者を縛る」ことになりかねない自民党草案の2項は憲法を17条憲法のような倫理規範にまで落としたいという意思が明白に表れた箇所だと私は思う。

だいたい『「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定』するのは誰なのか?
明確な線引きは可能なのか?
政府の権限を持って規定するなんて話になったら凡そ言論の自由は死滅すると言わざるを得ないだろう。

まぁ、そうなっても安倍晋三のオトモラチの櫻井よしこの場合「私の言論の自由は保障される」んだろうだが、少なくとも現行憲法櫻井よしこ言論の自由は守られていることは間違いないのであり感謝こそすれ、安倍晋三のように「恥ずかしい」とかなんとかほざける立場にはないと思うのだが。